第118回医師国家試験 A18(2024年)
正答:e
問題
72歳の男性。突然の左眼の視力低下を主訴に来院した。テレビを見ていたところ左眼が急に見えなくなり、改善しないため受診した。喫煙は20本/日を50年間、血圧170/96 mmHg。視力は右眼0.3(1.0)、左眼手動弁(矯正不能)。左眼の眼底写真(別冊No.3)を別に示す。
診断はどれか。
a.硝子体出血
b.加齢黄斑変性
c.Vogt-小柳-原田病
d.網膜静脈分枝閉塞症
e.網膜中心動脈閉塞症

正答の理由
突然の片眼の著しい視力低下に、網膜の白濁と中心窩の赤色斑〈cherry-red spot〉を認めるため、eが正解です。網膜動脈の閉塞で内層網膜が虚血性に白濁する一方、薄い中心窩では脈絡膜の赤い色調が透見されます。
画像の見方
後極部の網膜は全体に白っぽく浮腫状で、その中央に小さな暗赤色の中心窩が目立ちます。これはcherry-red spotに相当します。静脈閉塞でみられる広範な網膜出血は目立ちません。
各選択肢の検討
a.硝子体出血:出血により眼底が透見しにくくなります。本例では網膜の白濁と中心窩の赤色斑が見えています。
b.加齢黄斑変性:黄斑部の滲出・出血などで中心視力が障害されますが、広い網膜白濁は典型ではありません。
c.Vogt-小柳-原田病:両眼性のぶどう膜炎や漿液性網膜剝離を来し、髄膜刺激症状などを伴うことがあります。本例の動脈性虚血所見とは異なります。
d.網膜静脈分枝閉塞症:閉塞した静脈領域に沿う扇状の網膜出血などを認めます。本写真ではその出血像が主体ではありません。
e.網膜中心動脈閉塞症:正しい。無痛性で突然の高度視力低下と網膜白濁・cherry-red spotが典型です。
覚えるポイント
網膜中心動脈閉塞症は眼の虚血性脳卒中として扱う緊急疾患です。急な片眼の視力低下では速やかな眼科評価に加えて脳血管・心血管系の原因検索も重要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。