第117回医師国家試験 F50(2023年)
正答:a
問題
76歳の女性。嗄声を主訴に来院した。3か月前から声がかすれることに気付いた。様子をみていたが症状が改善しないため受診した。高血圧症、脂質異常症で自宅近くの診療所に通院中である。喫煙は10本/日を40年間。2年前から禁煙している。意識は清明。体温36.2 °C。脈拍76/分、整。血圧142/78 mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿浮腫なし。
血液所見:赤血球391万、Hb 12.7 g/dL、Ht 36 %、白血球8,300、血小板23万。
血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン3.5 g/dL、総ビリルビン0.5 mg/dL、AST 25 U/L、ALT 17 U/L、尿素窒素21 mg/dL、クレアチニン1.1 mg/dL。CRP 0.1 mg/dL。5年前と今回受診時の胸部エックス線写真(別冊No.4)を別に示す。
次に行う検査として最も正しいのはどれか。
a.胸部CT
b.胸腔鏡検査
c.気管支鏡検査
d.呼吸機能検査
e.冠動脈造影カテーテル検査

正答の理由
比較画像では大動脈弓に相当する左上縦隔の膨隆が増大しています。嗄声と組み合わせ、胸部大動脈瘤による左反回神経の障害を疑います。まず胸部CTで大動脈や周囲構造を評価します。画像だけで嗄声の原因を確定せず、必要に応じて喉頭の評価も行います。
画像の見方
受診時には5年前より左上縦隔の大動脈弓に相当する陰影が大きく膨隆しています。肺内の病変だけでなく大動脈の異常に注目します。
各選択肢の検討
a.正しい。疑われる大動脈病変の位置・大きさ・形態等の評価に適しています。造影の要否は腎機能や診療目的を考慮します。
b.侵襲的であり、疑われる縦隔・大動脈病変の初期精査として選びません。
c.気道病変を調べる検査ですが、本画像からはまず大動脈・縦隔のCT評価を優先します。
d.嗄声と大動脈弓の膨隆の原因を評価する第一選択ではありません。
e.冠動脈病変を評価する検査であり、本例の疑いに対応する検査ではありません。
覚えるポイント
左反回神経は大動脈弓の下を回るため、胸部大動脈瘤が嗄声の原因になり得る。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。