第117回医師国家試験 D75(2023年)
正答:a
問題
65歳の男性。胸部痛を主訴に来院した。4か月前から持続性の右胸部痛が出現し、徐々に増強したため受診した。40年前から建設業に従事していた。体温36.3 °C。脈拍72/分、整。血圧128/72 mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98 %(room air)。右胸部の呼吸音は減弱し、打診で濁音を認める。血液検査所見で炎症所見は認めないが、胸水中のヒアルロン酸は125,000 ng/mLと著明な増加を認めた。胸部エックス線写真(別冊No.34A)と胸部造影CT(別冊No.34B)を別に示す。
確定診断のために必要な検査はどれか。
a.胸膜生検
b.胸部MRI
c.FDG‐PET
d.気管支鏡下肺生検
e.腫瘍マーカー測定


正答の理由
建設業での長い職歴、持続性胸痛、胸水と不整な胸膜肥厚、胸水ヒアルロン酸高値から胸膜中皮腫を疑います。確定には胸膜病変から十分な組織を採取し、病理・免疫染色などで診断する胸膜生検が必要です。
画像の見方
右胸郭の広い範囲が不透過で、CTでは右胸膜の不整な肥厚と胸水貯留、右肺の圧排を認めます。胸膜を主体とする悪性病変を疑う所見ですが、中皮腫の確定には組織検査が必要です。
各選択肢の検討
a.正しい。胸腔鏡などによる生検を検討し、胸膜病変の組織学的診断を行います。
b.浸潤範囲の評価を補助しますが、組織診断の代替にはなりません。
c.病期や活動性評価を補助しますが、確定診断には組織が必要です。
d.主病変は胸膜であり、気管支鏡下の肺生検では適切な胸膜組織を得にくい場合があります。
e.ヒアルロン酸や腫瘍マーカーのみで中皮腫を確定してはいけません。
覚えるポイント
石綿曝露を疑う職歴と胸膜病変から疑い、胸膜生検で確定する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。