進行する非心原性脳梗塞の急性期治療|第117回医師国家試験D48

第117回医師国家試験 D48(2023年)

正答:a・c

問題

80歳の女性。左上下肢の脱力を主訴に救急車で搬入された。本日午前6時に起床したときから、左上下肢の脱力としゃべりにくさを自覚していたが、様子をみていた。夕方、左上下肢の麻痺が増悪したため救急車を要請した。高血圧症と糖尿病で治療中である。日常生活動作は自立しており、脳血管障害の既往や不整脈の指摘はない。意識は清明。心拍数82/分、整。血圧154/82 mmHg。復唱は可能だが構音障害を認める。左顔面を含む左上下肢の不全片麻痺を認めた。来院時の頭部MRIの拡散強調像(別冊No.17A)、FLAIR像(別冊No.17B)及びMRA(別冊No.17C)を別に示す。

直ちに行うべき治療で適切なのはどれか。2つ選べ。

a.抗血小板薬内服

b.機械的血栓回収療法

c.グリセオール静注療法

d.t-PA〈tissue plasminogen activator〉静注療法

e.直接経口抗凝固薬[direct oral anti coagulant〈DOAC〉]内服

No.17A:頭部拡散強調像
No.17A:頭部拡散強調像 / 出典:厚生労働省・第117回D別冊(原本の該当ページ)
No.17B:頭部FLAIR像
No.17B:頭部FLAIR像 / 出典:厚生労働省・第117回D別冊(原本の該当ページ)
No.17C:頭部MRA
No.17C:頭部MRA / 出典:厚生労働省・第117回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

右深部の急性期脳梗塞に対応する左不全片麻痺があり、MRAで血栓回収の対象となる主幹動脈閉塞を認めません。起床時から症状があり夕方受診、FLAIRでも対応する信号変化があり、本問では静注血栓溶解療法の適応を示す条件がありません。公式正答はa・cです。抗血小板療法を行い、グリセオールは脳浮腫に対する薬として位置付けます。すべての小梗塞に予防的に必要という意味ではありません。

画像の見方

拡散強調像で右基底核・内包付近に高信号があり、左不全片麻痺に対応します。FLAIRでも右深部に信号変化を認め、周囲には慢性虚血性変化もあります。MRAでは主要な頭蓋内動脈の描出が保たれ、明らかな主幹動脈閉塞を認めません。

各選択肢の検討

a.正しい。出血を除外した非心原性脳梗塞の急性期に抗血小板療法を行います。

b.主幹動脈閉塞を標的とする治療で、本画像では対象となる閉塞を認めません。

c.公式正答。高張グリセロールは脳浮腫・頭蓋内圧亢進への治療薬です。実診療では浮腫や症状を評価して適応を判断します。

d.通常の発症時刻からの時間条件を満たす記載がなく、DWI/FLAIRミスマッチ等の画像選択条件も示されていません。

e.心房細動等の心原性塞栓症を示す根拠がなく、直ちにDOACを選びません。

覚えるポイント

急性期再灌流療法は、時刻と画像・閉塞血管・臨床所見を合わせて適応を判断する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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