食道に停滞したリチウム電池は無症状でも緊急摘出|第117回医師国家試験D46

第117回医師国家試験 D46(2023年)

正答:e

問題

11か月の男児。パッケージから出したばかりのコイン型リチウム電池を飲み込んだため両親に連れられて来院した。体温36.2 ℃。心拍数120/分、整。血圧80/56 mmHg。呼吸数32/分。SpO2 98 %(room air)。機嫌はよく、顔色は良好である。努力呼吸を認めず、呼吸音に異常を認めない。来院時の胸部エックス線写真の背臥位正面像(別冊No.16A)と背臥位側面像(別冊No.16B)を別に示す。

この患児に適切な対応はどれか。

a.翌日の受診を指示

b.気管支鏡下の摘出

c.Heimlich法の実施

d.経鼻栄養チューブ挿入

e.磁石付きカテーテルによる摘出

No.16A:胸部正面像
No.16A:胸部正面像 / 出典:厚生労働省・第117回D別冊(原本の該当ページ)
No.16B:胸部側面像
No.16B:胸部側面像 / 出典:厚生労働省・第117回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

胸部写真では電池が頸胸部の食道に停滞しています。電池の放電により短時間でも組織障害が進むため、翌日まで待ちません。本試験の公式正答はeですが、現在の安全管理では損傷を確認できる緊急内視鏡摘出が基本で、盲目的な磁石カテーテル摘出は推奨されません。試験の選択肢と現在の標準的手順を区別してください。

画像の見方

正面像で頸胸部正中に円形の金属陰影があり、側面像では気管の後方に位置します。気道異物ではなく食道に停滞する電池と考えます。無症状でも組織傷害が進むため、位置の確認後は緊急の専門的摘出が必要です。

各選択肢の検討

a.食道電池は症状が乏しくても緊急対応が必要で、翌日まで待てません。

b.異物の位置は食道です。気道異物を摘出する気管支鏡は目的が異なります。

c.窒息への対応であり、食道電池の除去法ではありません。乳児への腹部突き上げも適切ではありません。

d.電池による食道損傷を解決しません。

e.公式正答。緊急に摘出する選択肢として選ばれています。ただし現在の指針は盲目的磁石摘出を避け、内視鏡で摘出・損傷評価することを勧めます。

覚えるポイント

電池が食道にある場合は、元気でも緊急摘出と粘膜損傷の評価が必要。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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