第117回医師国家試験 C45(2023年)
正答:c
問題
24歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。3か月前から職場の上司にパワハラを受けていると悩んでいた。今朝、自宅のガレージで倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。本人の着衣と口腔内からは強い有機溶媒臭がしており、ガレージには灯油が残ったコップがあった。搬入後、次第に呼吸状態の悪化を認めた。意識レベルはJCSⅢ-100。体温36.8 ℃。心拍数104/分、整。血圧120/80 mmHg。呼吸数32/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10 L/分酸素投与下)。
次に行うべき適切な対応はどれか。
a.胃洗浄
b.血液透析
c.気管挿管
d.大量輸液
e.高気圧酸素治療
正答の理由
灯油などの炭化水素による中枢神経抑制と、誤嚥に伴う化学性肺炎を考えます。高度の意識障害があり、高濃度酸素投与下でもSpO2 88%と低く、気道保護と酸素化・換気のため気管挿管が必要です。
各選択肢の検討
a.胃洗浄:灯油は誤嚥による肺障害を起こしやすく、胃洗浄は誤嚥リスクを増やすため通常行いません。
b.血液透析:灯油中毒に対する標準的な除去治療ではなく、まず呼吸管理が必要です。
c.気管挿管:正しい。気道を確保し、人工呼吸管理を行います。
d.大量輸液:明らかな循環不全は示されず、大量輸液は呼吸不全を改善する優先処置ではありません。
e.高気圧酸素治療:一酸化炭素中毒等で適応を考えますが、灯油摂取が疑われる本例ではまず気道確保・呼吸管理です。
覚えるポイント
中毒原因の確認や精神面への支援と並行し、最初に気道・呼吸・循環を安定させます。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第117回医師国家試験問題および正答
- Royal Children’s Hospital:Hydrocarbon poisoning
- Royal Children’s Hospital:急性中毒の初期管理と胃洗浄の限界
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。