胸腺腫を伴う重症筋無力症と抗AChR抗体|第117回医師国家試験A38

第117回医師国家試験 A38(2023年)

正答:c

問題

45歳の男性。夕方になるとまぶたが下がること、物が二重に見えること、水分を慌てて飲むと鼻に逆流することを主訴に来院した。2か月前から症状を自覚していたが、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。血液検査、頭部MRI及び胸部造影CTを行った。頭部MRIで異常は認めなかった。この患者の胸部造影CT(別冊No.14)を別に示す。

この患者の血液検査で異常値を示すと考えられるのはどれか。

a.可溶性IL‐2受容体抗体

b.α‐フェトプロテイン〈AFP〉

c.抗アセチルコリン受容体抗体

d.ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉

e.アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉

前縦隔に境界明瞭な軟部腫瘤。
別冊No.14:胸部造影CT / 出典:厚生労働省・第117回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

夕方に悪化する眼瞼下垂・複視と鼻への逆流を伴う球症状は、易疲労性と日内変動を示す重症筋無力症に合致します。CTの前縦隔腫瘤は胸腺腫を疑い、抗アセチルコリン受容体抗体の異常を考えます。

画像の見方

胸骨後方の前縦隔に、比較的境界明瞭で充実性の軟部腫瘤を認めます。眼筋・球症状の日内変動と合わせると、胸腺腫を伴う重症筋無力症を疑います。

各選択肢の検討

a.原文は「可溶性IL-2受容体抗体」です。リンパ腫などで測定する可溶性IL-2受容体そのものと区別し、本例の病態を示す自己抗体ではありません。

b.胚細胞腫瘍などで上昇しますが、重症筋無力症の病態に対応する検査ではありません。

c.正しい。神経筋接合部の後シナプス膜AChRに対する自己抗体です。

d.胚細胞腫瘍などのマーカーで、本例では抗AChR抗体を優先します。

e.サルコイドーシスなどで参考となりますが、本例の症状・胸腺腫との関連では適切ではありません。

覚えるポイント

AChR抗体陰性のMGもあります。血清抗体、神経生理検査、症状の変動を合わせて診断します。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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