第117回医師国家試験 A26(2023年)
正答:e
問題
32歳の女性。発熱、めまい、全身倦怠感を主訴に来院した。半年前から37 °C前後の微熱が持続し、全身倦怠感やめまいも生じてきた。総合感冒薬を内服したが、症状が改善しないため受診した。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。血圧は右上肢120/62 mmHg、左上肢80/40 mmHg。頸部から左鎖骨上窩にかけて血管雑音を聴取する。心音は胸骨左縁第3肋間を最強点とするLevine 2/6の拡張期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。
赤沈85 mm/1時間。
血液所見:赤血球360万、Hb 10.8 g/dL、白血球9,600(桿状核好中球10 %、分葉核好中球70 %、好酸球1 %、好塩基球1 %、単球4 %、リンパ球14 %)。心電図と胸部エックス写真に異常を認めない。三次元造影CT(別冊No.7)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a.大動脈縮窄症
b.サルコイドーシス
c.大動脈弓部大動脈瘤
d.Stanford A型大動脈解離
e.高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉

正答の理由
微熱・全身倦怠感、赤沈亢進と貧血に加え、左上肢の血圧低下と頸部から鎖骨上窩の血管雑音を認めます。大動脈と主要分枝を障害する高安動脈炎を考えます。拡張期雑音は大動脈弁逆流の合併を示唆します。
画像の見方
三次元再構成像では大動脈弓から頸部・上肢へ向かう主要分枝に狭細化・走行の不整がみられます。左上肢血圧低下や鎖骨上窩雑音と合わせて、大型動脈の狭窄性病変を考えます。壁自体の炎症評価には元の断層画像も必要です。
各選択肢の検討
a.先天性の大動脈狭窄で通常は上下肢血圧差が問題となり、半年の炎症経過を説明しません。
b.本例では大動脈主要分枝の血流障害を説明する大型血管炎が最も適切です。
c.局所的な弓部拡張だけでなく、炎症と分枝狭窄による上肢血流障害が中心です。
d.通常は急性の激しい胸背部痛などで発症し、本例の慢性炎症経過とは異なります。
e.正しい。若年女性、大型動脈病変、左右血圧差、血管雑音と炎症所見が合致します。
覚えるポイント
血圧は両上肢で測定し、大動脈・頸動脈・鎖骨下動脈などの壁肥厚・狭窄を評価します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。