第117回医師国家試験 A15(2023年)
正答:c
問題
62歳の女性。皮疹と発熱を主訴に来院した。7日前から感冒症状があり市販の総合感冒薬を内服している。前日から顔面と四肢体幹に紅斑が出現し、口内の痛みと発熱も出現した。体温38.5 °C。顔面、四肢および体幹の広範囲の皮膚に紅斑、水疱およびびらんがみられる。水疱とびらんの範囲は体表面積の40 %以上である。眼球結膜充血と口唇痂皮、口腔粘膜にもびらんがみられる。顔面と左上腕の写真(別冊No.1A、B)を別に示す。内服している総合感冒薬のリンパ球刺激試験358 %(基準180未満)、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価10倍(基準10以下)で、3週間後の採血で、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価10倍であった。
最も考えられるのはどれか。
a.固定薬疹
b.多形滲出性紅斑
c.中毒性表皮壊死症
d.薬剤過敏症症候群
e.急性汎発性発疹性膿疱症


正答の理由
総合感冒薬の内服後に発熱、皮膚の広範な紅斑・水疱・びらんと眼・口腔粘膜障害が出現しています。表皮剝離を伴う範囲が体表面積40%以上と広く、中毒性表皮壊死症(TEN)を最も考えます。HHV-6抗体価の上昇を認めない経過も、典型的な薬剤過敏症症候群よりTENを支持します。
画像の見方
顔面では頬・鼻・口囲・顎の広い範囲で表皮が剝離し、赤いびらん面と口唇の痂皮を認めます。上腕にも辺縁に剝離した表皮を伴う広いびらん面があり、周囲には紅斑が広がっています。
各選択肢の検討
a.固定薬疹は通常同じ部位に再発します。汎発性水疱型も鑑別になりますが、著明な多部位粘膜障害と本例の全身像ではTENを優先します。
b.典型的には標的状紅斑を主体とし、40%以上の広範な表皮剝離を説明する診断としてはTENを選びます。
c.正しい。高熱と多部位粘膜病変、広範な表皮剝離が合致します。
d.通常は薬剤開始後の比較的長い潜伏期、臓器障害、経過の遷延などが重要です。典型例ではHHV-6再活性化を認めますが、その欠如だけで全てのDIHSを除外はできません。
e.非毛包性の小膿疱を主体とする薬疹で、提示された広いびらん面主体の所見とは異なります。
覚えるポイント
DLST陽性だけで病型や原因薬を確定せず、投与歴、皮膚・粘膜所見、病理などから総合判断します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。