第116回医師国家試験 F49(2022年)
正答:e
問題
66歳の女性。労作時の前胸部不快感を主訴に来院した。10年前から高血圧症、糖尿病で定期的に通院加療を受けている。2か月前から、朝6時ごろのゴミ出しの時に胸部不快感を自覚することが数回あったため来院した。来院時の心電図は完全右脚ブロックで以前と変化はなかった。トレッドミル負荷心電図検査では目標心拍数に達したが、十分な判定ができる所見は得られなかった。冠動脈造影検査(別冊No.11)で、左前下行枝に50〜75 % 程度の狭窄病変を認めた。矢印は病変部を示す。血行再建術の適応と考えられた。
心筋虚血の有無を評価するために適切な検査はどれか。
a.Holter心電図
b.FDG-PET検査
c.Master2階段法
d.MIBG心筋シンチグラフィ
e.運動負荷タリウム心筋シンチグラフィ

正答の理由
冠動脈造影は狭窄の形態を示しますが、中等度狭窄が負荷時の心筋虚血を生じるかは別に評価します。運動負荷タリウム心筋シンチグラフィでは負荷時と安静・再分布時の血流を比較し、可逆性の集積低下から虚血を評価できます。現在は他の血流製剤やFFR/iFRなども使われますが、提示肢ではeです。
画像の見方
下段の矢印部に左前下行枝の狭窄を認めます。形態的狭窄があっても負荷時虚血の程度は画像だけで決められず、機能的評価を追加します。
各選択肢の検討
a.不整脈や自然発作時のST変化を捉えますが、今回の負荷虚血評価にはeが適します。
b.心筋の糖代謝やバイアビリティ、炎症などの評価に用い、提示された負荷血流評価の代わりではありません。
c.運動負荷心電図を既に行い十分に判定できていないため、同種の評価を繰り返すより画像検査が適します。
d.心臓交感神経機能を評価する検査です。
e.正しい。負荷で生じる心筋血流の相対的低下を評価します。
覚えるポイント
冠狭窄の形態と、それが起こす虚血を区別する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。