看取りで死期の切迫を示す下顎呼吸|第116回医師国家試験F44

第116回医師国家試験 F44(2022年)

正答:c

問題

85歳の男性。3週間前に肺炎のため入院した。2年前に進行肺癌と診断されたが癌の治療は受けていない。入院後は本人および妻と十分に相談のうえ、抗菌薬治療と1日500 mLの輸液のみを行っている。今朝は①呼びかけても答えない意識レベルとなり、②水分を嚥下できず、③下顎呼吸を認める。④四肢に浮腫を認める。⑤昨日は排便がなかった。高齢の妻は自宅におり、死亡時には立ち合いたいと希望している。

下線のうち24時間以内の死亡が最も予想される所見はどれか。

a.①

b.②

c.③

d.④

e.⑤

正答の理由

下顎を呼吸に合わせて動かす下顎呼吸は、死が迫った時期に出現する重要な徴候です。進行癌患者を対象とした国内の前向き研究でも、下顎呼吸が現れてから多くは数時間〜24時間以内に呼吸停止に至っています。本例では妻へ速やかに状態の変化を伝える必要があります。ただし、個人の死亡時刻を正確に断定できる所見ではありません。

各選択肢の検討

a.意識低下は死期が近いことを示唆しますが、下顎呼吸より前から続く場合があり、24時間以内への特異性は劣ります。

b.嚥下困難も終末期にみられますが、これだけで24時間以内とは予測できません。

c.正しい。下顎呼吸は死期の切迫を強く示唆します。

d.浮腫は低アルブミン血症、心・腎機能、輸液等の影響でも生じ、時間単位の予後を示す所見ではありません。

e.1日の排便欠如は摂取量低下や活動低下でも起こり、切迫した死亡の予測にはなりません。

覚えるポイント

下顎呼吸を認めたら死期の切迫を家族と共有し、本人の苦痛緩和と希望を支える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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