第116回医師国家試験 D54(2022年)
正答:a
問題
21歳の男性。1か月前からの顔面浮腫、労作時の呼吸困難を主訴に来院した。既往歴に特記すべきことはない。顔面と頸部および上肢の浮腫を認め、胸壁静脈の怒張を認めた。経皮的針生検により縦隔原発精上皮腫と診断された。胸部造影CT(別冊No.21)を別に示す。
この患者の症状はどの部位の狭窄によるものか。
a.上大静脈
b.腕頭動脈
c.肺動脈
d.気管
e.食道

正答の理由
顔面・頸部・上肢の浮腫と胸壁静脈の怒張は、上半身の静脈血が右心房へ還流しにくくなる上大静脈症候群を示します。前縦隔の腫瘤が上大静脈を圧迫・狭窄させるためです。気管や食道への圧迫による症状と、静脈還流障害による分布のある浮腫を区別します。
画像の見方
前上縦隔に大きな軟部組織腫瘤があり、右側の上大静脈の走行部を圧迫しています。胸壁の静脈も目立ち、上半身の静脈還流障害を示す症状と対応します。
各選択肢の検討
a.正しい。頭頸部と上肢からの静脈還流が障害され、浮腫と側副静脈の発達を来します。
b.動脈の狭窄は虚血の原因で、上半身全体の静脈うっ血を説明しません。
c.肺血流の障害は呼吸困難の原因となりますが、顔面・上肢の局所的うっ血の主因ではありません。
d.狭窄すれば喘鳴等を来しますが、胸壁静脈怒張を伴う浮腫の原因は静脈還流障害です。
e.狭窄による主症状は嚥下障害で、提示された浮腫の分布とは異なります。
覚えるポイント
顔面・頸部・両上肢の浮腫と胸壁静脈怒張は上大静脈症候群。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。