第116回医師国家試験 D46(2022年)
正答:c
問題
72歳の男性。突然の激しい頭痛と急激な両側の視力低下を主訴に来院した。意識は清明。身長169 cm、体重69 kg。体温36.8 ℃。脈拍80/分、整。血圧154/92 mmHg。四肢麻痺はない。頭部単純CTの冠状断像(別冊No.17A)と矢状断像(別冊No.17B)を示す。
適切な治療はどれか。
a.血管内治療
b.減圧開頭術
c.経蝶形骨洞手術
d.開頭クリッピング術
e.腰椎(髄液持続)ドレナージ

正答の理由
突然の激しい頭痛、急速な両側視力低下と、トルコ鞍から鞍上部の高吸収腫瘤から下垂体卒中を考えます。腫瘍内出血等で急に腫大し視交叉を圧迫する病態です。本例では著しい視機能障害があり、内分泌・全身状態を安定化した上で経蝶形骨洞手術による減圧を検討します。急性副腎不全にも注意し、ヒドロコルチゾン補充を含め専門医へ緊急に相談します。すべての下垂体卒中が直ちに手術となるわけではありません。
画像の見方
トルコ鞍から鞍上部に高吸収の腫瘤があり、上方へ膨隆しています。単純CTでの高吸収は腫瘍内出血を疑う所見で、急激な頭痛・視力低下と合わせて下垂体卒中を考えます。
各選択肢の検討
a.動脈瘤等の治療で、提示された下垂体病変の減圧方法ではありません。
b.広範な脳浮腫等への減圧を想定した処置で、下垂体部への標準的な到達法ではありません。
c.正しい。蝶形骨洞を経て下垂体部へ到達し、出血を伴う腫瘍を減圧します。
d.動脈瘤の頸部を閉鎖する治療で、提示画像の下垂体卒中には対応しません。
e.髄液を排出しても、視交叉を圧迫する下垂体腫瘍の直接減圧にはなりません。
覚えるポイント
急な頭痛+視力低下+鞍内・鞍上部出血性腫瘤では下垂体卒中を疑い、内分泌救急と視機能保護に対応する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。