第116回医師国家試験 D40(2022年)
正答:d
問題
53歳の男性。3年前から喘息のコントロールが不良でしばしば増悪を起こし、肺炎を繰り返すようになった。2週間前から近くの医療機関で肺炎と診断され治療中であったが、抗菌薬への反応が悪いとのことで紹介され来院した。2歳から気管支喘息として治療を受けている。
身長168 cm、体重64 kg。体温36.4 ℃。脈拍68/分、整。血圧118/68 mmHg。呼吸音は両側全肺野でwheezesを聴取する。
入院時血液所見:赤血球465万、Hb 12.8 g/dL、Ht 39 %、白血球13,100(分葉核好中球51 %、好酸球27 %、好塩基球2 %、リンパ球20 %)、血小板27万。血液生化学所見:総ビリルビン0.6 mg/dL、AST 22 U/L、ALT 27 U/L、LD 150 U/L(基準120〜245)、ALP 46 U/L(基準38〜113)、γ-GT 36 U/L(基準8〜50)、尿素窒素8.5 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、IgE 2,540 IU/mL。免疫血清学所見:CRP 0.2 mg/dL、抗アスペルギルス沈降抗体陽性、β-D-グルカン120 pg/mL(基準10以下)、喀痰培養でAspergillus fumigatusが検出された。
この患者に対する治療として適切なのはどれか。
a.シクロスポリン
b.セフェム系抗菌薬
c.高用量吸入ステロイド
d.経口副腎皮質ステロイド
e.アスペルギルス減感作療法
正答の理由
喘息、著しい好酸球増多とIgE高値、抗アスペルギルス抗体陽性、同菌の検出、抗菌薬に反応しない反復肺炎から、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症〈ABPA〉を考えます。選択肢ではアレルギー性炎症を抑える経口ステロイドを選びます。吸入ステロイド単独ではABPAの全身治療の代わりになりません。現在の指針では経口イトラコナゾールも初期治療の選択肢であり、経口ステロイドだけが唯一の治療ではありません。
各選択肢の検討
a.提示時点のABPAの標準的な第一選択ではありません。
b.細菌を標的とする治療で、真菌抗原に対するアレルギー性炎症を十分に治療しません。
c.併存喘息の管理には重要ですが、ABPAの初期治療を高用量吸入薬のみで代替しません。
d.正しい。症候性ABPAの炎症を抑える全身治療です。
e.標準的に推奨するABPA治療ではなく、感作抗原の投与は慎重に扱う必要があります。
覚えるポイント
喘息+好酸球増多・高IgE+アスペルギルス感作でABPAを考える。全身治療を吸入薬だけで代替しない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。