第116回医師国家試験 D37(2022年)
正答:c
問題
67歳の男性。2か月前からの嚥下障害を主訴に来院した。2か月で6 kgの体重減少があった。上部消化管内視鏡検査と病理検査により胸部上部食道の扁平上皮癌と診断され、放射線療法と薬物による抗癌治療の同時併用が施行された。治療終了後から肺炎を繰り返すようになった。治療前後の胸部CT(別冊No.12)を別に示す。
この患者の肺炎の原因となる病態はどれか。
a.縦隔リンパ節再発
b.食道癌局所再発
c.気管食道瘻
d.食道狭窄
e.縦隔炎

正答の理由
治療前には食道の腫瘤性壁肥厚があり、治療後には気管後壁と食道の間の壁が途切れ、両内腔が交通するようにみえます。気管食道瘻ができると唾液・飲食物が直接気道へ入り、肺炎を繰り返します。化学放射線治療後の経過と画像上の交通に注目します。
画像の見方
治療前は気管後方に厚い食道壁・腫瘤を認めます。治療後は壁が薄くなる一方、気管後壁が途切れて隣接する食道内腔と交通する空気の通路がみられ、気管食道瘻を疑います。
各選択肢の検討
a.リンパ節の増大を主所見としておらず、繰り返す誤嚥を直接説明するのは交通です。
b.局所病変の評価は必要ですが、提示された治療後画像では気管と食道の交通が原因です。
c.正しい。消化管内容が気管へ流入し、誤嚥性肺炎を起こします。
d.狭窄でも通過障害や誤嚥を起こし得ますが、本例のCTでは瘻孔に注目します。
e.食道穿孔等で生じ得ますが、気道への直接交通が繰り返す肺炎を説明します。
覚えるポイント
食道癌治療後の反復肺炎では、気管食道瘻による唾液・食物の気道流入を考える。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。