第116回医師国家試験 D19(2022年)
正答:c
問題
75歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。5年前から慢性的な咳と痰を自覚していたがそのままにしていた。1年前から階段昇降や軽労作で息切れを自覚するようになった。1週間前から発熱と咽喉頭痛を認め、咳と痰の増加とともに呼吸困難が増強したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は30本/日を45年間。来院時、意識は清明であるが、黄色痰および激しい咳が続いている。口すぼめ呼吸を認める。
身長165 cm、体重50 kg。体温37.4 ℃。脈拍84/分、整。呼吸数21/分。SpO2 87 %(room air)。呼吸音に異常を認めない。
この患者の初期治療として誤っているのはどれか。
a.酸素療法
b.抗菌薬の投与
c.中枢性鎮咳薬の投与
d.副腎皮質ステロイドの投与
e.短時間作用型β2刺激薬の吸入
正答の理由
長期喫煙、慢性の咳・痰、進行する労作時息切れと口すぼめ呼吸からCOPDを考え、膿性痰の増加と低酸素血症は感染を契機とする増悪を示唆します。喀痰排出を妨げる中枢性鎮咳薬は初期治療として不適切です。低酸素血症を放置せず、血液ガスを評価しながら酸素を調節し、気管支拡張薬・全身性ステロイド・適応に応じた抗菌薬を用います。
各選択肢の検討
a.適切です。SpO2 87 %のため酸素が必要です。高CO2血症のリスクを評価し、過剰投与に注意して調節します。
b.膿性痰と呼吸困難の増悪があり、細菌感染を考えて投与を検討します。
c.正答。咳を抑えて喀痰排出を妨げ、薬剤によっては呼吸抑制も問題となります。
d.増悪期の気流制限改善や回復促進のため、全身投与を考慮します。
e.速やかな気管支拡張を目的とする初期治療です。
覚えるポイント
COPD増悪では気道を広げ、痰を排出し、酸素化を適切に管理する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。