第116回医師国家試験 A43(2022年)
正答:c
問題
28歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。2週間前から空腹時に軽度の心窩部痛を自覚していたが、昨日から増悪するため受診した。20歳から十二指腸潰瘍で繰り返し薬物治療を受けている。25歳時に下垂体腺腫摘出術を受けている。身長176 cm、体重64 kg。体温36.2 ℃。脈拍96/分、整。血圧98/62 mmHg。腹部は平坦、軟で、上腹部に軽度の圧痛を認める。直腸指診で黒色便の付着を認める。
血液所見:赤血球360万、Hb 11.5 g/dL、Ht 36 %、白血球8,800、血小板29万。
血液生化学所見:総蛋白6.9 g/dL、アルブミン3.6 g/dL、ALP 192 U/L (基準38〜113)、尿素窒素20 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、Ca 11.6 mg/dL、P 2.2 mg/dL。上部消化管内視鏡検査で多発胃潰瘍および十二指腸潰瘍を認めた。頸部超音波検査で甲状腺背側に径0.5 cm の腫瘤を認めた。腹部造影 CT 動脈相で膵体部に強く造影される径1cm の腫瘤を認めた。
この患者で上昇していると考えられるホルモンはどれか。
a.TSH
b.ACTH
c.ガストリン
d.カテコラミン
e.テストステロン
正答の理由
若年から反復する胃・十二指腸潰瘍、下垂体腺腫の既往、高Ca・低P血症と甲状腺背側の腫瘤、膵の多血性腫瘤があり、MEN1を考えます。ガストリノーマによるガストリン過剰は胃酸分泌を促進し、難治性・多発性消化性潰瘍を起こします。高Ca血症は原発性副甲状腺機能亢進症を示唆します。
各選択肢の検討
a.下垂体腺腫があってもTSH産生性とは限らず、本例の潰瘍を説明するホルモンではありません。
b.ACTH過剰を示す特徴は示されていません。
c.正しい。難治性潰瘍と膵腫瘤からガストリノーマを疑います。
d.褐色細胞腫は主にMEN2との関連が重要で、本例の病変の組合せとは異なります。
e.本例の多発潰瘍を説明しません。
覚えるポイント
MEN1は副甲状腺、膵・消化管内分泌腫瘍、下垂体の組合せ。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。