ATP2A2変異と角化性丘疹はDarier病を支持する|第116回医師国家試験A39

第116回医師国家試験 A39(2022年)

正答:b

問題

20歳の女性。腹部の皮疹を主訴に来院した。1か月前から腹部に多発する皮疹が出現し消退せず持続している。瘙痒はない。母親も15歳から同様の皮疹が認められ、Kaposi 水痘様発疹症をしばしば発症する。発熱はない。頸部、腋窩、肋骨部、乳房下、腹部、鼠径に暗褐色の丘疹が多発している。患者と母親に ATP2A2 遺伝子の同じ部位の変異が同定された。腹部の写真(別冊No. 11A)と生検組織の H-E 染色標本(別冊No. 11B)とを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.Sweet 病

b.Darier 病

c.Kaposi 肉腫

d.尋常性天疱瘡

e.アトピー性皮膚炎

第116回A39 腹部写真AとH-E染色標本B
腹部写真AとH-E染色標本B / 出典:厚生労働省・第116回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

母娘に同様の暗褐色丘疹とATP2A2遺伝子変異を認め、常染色体顕性遺伝のDarier病を考えます。病理では棘融解と異常角化が特徴です。ATP2A2は小胞体Ca2+ポンプSERCA2をコードし、変異により表皮細胞の接着・角化が障害されます。

画像の見方

Aは腹部に密集する褐色丘疹です。Bでは表皮内の裂隙形成と細胞接着の障害、角化異常を認め、Darier病の棘融解性異常角化に合います。ATP2A2変異と家族歴を合わせて判断します。

各選択肢の検討

a.急な発熱や有痛性紅斑と好中球浸潤を特徴とし、本例の遺伝子所見とは合いません。

b.正しい。遺伝形式、遺伝子、臨床像と病理が一致します。

c.血管系腫瘍であり、ATP2A2変異と角化異常の疾患ではありません。

d.棘融解を示しますが、通常は自己抗体による水疱・びらんを主体とし、本例の家族性遺伝子異常を説明しません。

e.Kaposi水痘様発疹症を合併し得ますが、ATP2A2変異と病理像からDarier病を優先します。

覚えるポイント

Darier病はATP2A2、家族性の角化性丘疹、棘融解・異常角化で結び付ける。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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