第115回医師国家試験 E47(2021年)
正答:e
問題
75歳の男性。発熱、腹痛および下痢のため救急車で搬入された。
現病歴:10日前から左下腿蜂窩織炎のために入院して抗菌薬の点滴を行い、改善したため抗菌薬を内服投与に切り替えて4日前に退院した。2日前から発熱、腹痛および1日5回以上の水様下痢が出現した。経口摂取と体動が困難となったため同居する妻が救急車を要請した。退院後に食中毒の原因となり得る食物の摂取歴はない。周囲に同じ症状の人はいない。
既往歴:50歳台から高血圧症で降圧薬を服用中である。66歳時に2型糖尿病と診断され1年前からインスリン治療を行っている。
生活歴:妻と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:兄が糖尿病で治療中である。
現症:意識は清明。身長168 cm、体重73 kg。体温38.6 ℃。心拍数120/分、整。血圧136/70 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96 %(room air)。皮膚のツルゴールは低下している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常は認めない。口腔内は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で肝・脾を触知しない。下腹部に圧痛があるが反跳痛はない。腸雑音は亢進している。四肢は下腿に発赤や熱感を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球490万、Hb 14.3 g/dL、Ht 42 %、白血球18,200(好中球84 %、好酸球1%、単球3%、リンパ球12 %)、血小板20万、血液生化学所見:総蛋白6.2 g/dL、アルブミン3.8 g/dL、総ビリルビン0.4 mg/dL、AST 30 U/L、ALT 38 U/L、尿素窒素40 mg/dL、クレアチニン1.8 mg/dL、尿酸9.6 mg/dL、血糖158 mg/dL。CRP 4.3 mg/dL。
診察にあたり誤っている感染予防策はどれか。
a.個室での診察
b.直腸診実施時のゴーグルの着用
c.入室時のディスポーザブルガウンの着用
d.便検体採取時のサージカルマスクの着用
e.診察後の次亜塩素酸ナトリウムによる手指衛生
正答の理由
抗菌薬投与・入院後の発熱と頻回の水様下痢からC. difficile感染症を疑い、接触予防策を行います。次亜塩素酸ナトリウムは環境の消毒に用いる薬剤であり、手指に使用しません。便への接触後などは手袋を外した後、流水と石けんで洗います。マスク・ゴーグルは便などの飛散リスクに応じた標準予防策として用います。
各選択肢の検討
a.可能な限り個室で診察し、接触伝播を防ぎます。
b.飛散が予測される場面で眼を保護することは適切です。全例で一律必須という意味ではありません。
c.入室時のガウン・手袋等の接触予防策が必要です。
d.便が顔に飛散する可能性に応じて装着することは適切です。空気感染対策を意味するわけではありません。
e.誤り。次亜塩素酸ナトリウムで手指を消毒しません。環境消毒と手洗いを区別します。
覚えるポイント
CDIでは接触予防策。環境消毒剤を手指には用いない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。