第115回医師国家試験 E39(2021年)
正答:c
問題
70歳の女性。腰背部痛を主訴に来院した。1年前に右乳癌で乳房切除術を受けたが、その後肝、肺および腰椎に転移が認められていた。薬物による抗癌治療を選択せず、通院せずに自宅での療養を希望した。1か月前から右腰背部に鈍痛を自覚し、1週前から増強するために受診した。疼痛に対しNSAIDの投与が開始されたが、疼痛で眠れないため、本日受診時に硫酸モルヒネの投与が追加された。
今後注意すべき症状に含まれないのはどれか。
a.黄疸
b.悪心
c.下痢
d.下肢麻痺
e.呼吸困難
正答の理由
肝・肺・腰椎転移に由来する黄疸、呼吸困難、脊髄・馬尾圧迫による麻痺を警戒します。モルヒネ導入後は悪心、便秘、眠気などにも注意します。下痢はこの状況で予測する代表的な副作用ではなく、選択肢中ではcです。ただし下剤過量、感染、便塞栓による溢流性下痢などが起こり得るため、実際の下痢を無視してよいという意味ではありません。
各選択肢の検討
a.肝転移の進行や胆道閉塞等による黄疸に注意します。
b.モルヒネ導入時に起こり得る副作用です。
c.正答です。モルヒネの典型的な消化管副作用は下痢より便秘です。
d.腰椎病変による脊髄・馬尾圧迫を疑い、緊急評価が必要な症状です。
e.肺転移や胸水などの進行、また過鎮静・呼吸抑制にも注意します。
覚えるポイント
転移による症状と、オピオイド導入後の副作用を両方みる。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。