乳児の絞扼が疑われる鼠径ヘルニア|第115回医師国家試験E33

第115回医師国家試験 E33(2021年)

正答:c

問題

2か月の男児。右鼠径部の膨隆と嘔吐を主訴に母親に連れられて来院した。2週前、入浴時に右鼠径部が膨れているのに気付いたが、しばらくすると膨隆は消失していた。前日の夕方、おむつ交換時に右鼠径部が膨れていた。本日朝、右鼠径部から陰囊にかけての膨隆が前日よりも大きくなっていた。授乳後に頻回の嘔吐を認めたため午後受診した。

機嫌不良。身長54 cm、体重4.4 kg。体温37.3 ℃。心拍数150/分、整。血圧106/50 mmHg。呼吸数40/分。腹部は膨満している。右鼠径部から陰囊にかけて膨隆し、触ると嫌がる。外観写真(別冊No. 3A)を別に示す。

血液所見:赤血球420万、Hb 12.3 g/dL、Ht 36 %、白血球18,000、血小板22万。血液生化学所見:尿素窒素10 mg/dL、クレアチニン0.5 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 102 mEq/L。CRP 5.0 mg/dL。腹部エックス線写真(臥位)(別冊No. 3B)を別に示す。

対応として正しいのはどれか。

a.陰囊穿刺

b.経過観察

c.緊急手術

d.徒手整復

e.抗菌薬投与

この問題の外観写真(別冊No.3A)は、このページには掲載していません。出典:厚生労働省・第115回E別冊(原本の該当ページ)で確認できます。

拡張した腸管ガス像を認める腹部エックス線写真
別冊No.3B:腹部エックス線写真(臥位) / 出典:厚生労働省・第115回E別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

痛みを伴う鼠径陰囊部の膨隆が前日から持続し、嘔吐・腹部膨満と炎症反応上昇を伴っています。外観の変色と腸管拡張も合わせ、嵌頓に加えて絞扼・腸管虚血が懸念されます。緊急手術が必要です。虚血のない早期の嵌頓で慎重な徒手整復を試みる場合とは分けて考えます。

画像の見方

腹部写真は腸管ガスの拡張を示し、嘔吐・腹部膨満と合わせて腸閉塞を考えます。持続時間と圧痛、炎症反応から絞扼を警戒します。

各選択肢の検討

a.陰囊水腫の単純な液体貯留ではなく、腸管の嵌頓が疑われます。穿刺は行いません。

b.腸閉塞や血流障害が疑われ、観察のみは不適切です。

c.正しい。絞扼を疑う所見があり、小児外科で緊急に治療します。

d.絞扼が疑われる本例で無理に整復すると、障害された腸管を腹腔へ戻す危険があります。

e.周術期などに必要となる場合はあっても、機械的な嵌頓・絞扼の解除には代わりません。

覚えるポイント

痛い持続性鼠径膨隆に嘔吐・変色があれば絞扼を警戒する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第115回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました