第115回医師国家試験 C63(2021年)
正答:b
問題
82歳の女性。発熱と意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:3日前から発熱し、食事もむせるようになった。本日朝から呼びかけへの反応が乏しくなった。
既往歴:72歳時からAlzheimer型認知症に対してドネペジルを内服中である。
生活歴:ADLは車いす移動。2年前からサービス付き高齢者向け住宅に入居している。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:呼びかけにより開眼し「苦しい」と発語はあるが問いかけには答えられない。痛み刺激に対して手で払いのける。体温38.2 °C。心拍数40/分、整。血圧140/90 mmHg。呼吸数24/分。SpO2 92 %(リザーバー付マスク10 L/分酸素投与下)。瞳孔は高度に縮瞳し、対光反射は消失している。鼻汁、流涎および発汗がみられる。運動麻痺を認めない。腱反射の異常を認めない。両側肺底部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。下肢に筋力低下を認める。
流涎に対して最初に行うべき処置はどれか。
a.気管挿管
b.口腔内吸引
c.経鼻胃管挿入
d.輪状甲状靱帯穿刺
e.経鼻エアウェイ挿入
正答の理由
意識障害と多量の唾液分泌があり、分泌物で気道が汚染される危険があります。まず口腔内の分泌物を吸引し、気道の開通と酸素化・換気を再評価します。吸引後も気道保護や換気が不十分なら気管挿管を含めた対応が必要であり、「吸引だけで十分」とはしません。
各選択肢の検討
a.その後必要となり得ますが、目前の流涎にはまず口腔内吸引で対応します。
b.正しい。貯留する分泌物を除去する最初の処置です。
c.胃内容の減圧・栄養等に用いるもので、口腔内の唾液を除く処置ではありません。
d.挿管・酸素化困難などで検討する侵襲的手技で、最初に選びません。
e.舌根沈下に対する補助となりますが、貯留した分泌物は吸引する必要があります。
覚えるポイント
気道の分泌物を吸引し、酸素化・換気と気道保護を繰り返し評価する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。