発熱後の心室細動と右前胸部誘導のST変化はBrugada症候群|第115回医師国家試験A69

第115回医師国家試験 A69(2021年)

正答:c・d

問題

32歳の男性。会社からの帰宅後、全身倦怠感があった。38℃の発熱を認めたため少し早めに就寝した。深夜、妻が横で寝ていると、突然うめき声をあげてその後動かなくなった。呼びかけても反応せず、妻が救急車を呼びながら胸骨圧迫を施行した。救急隊到着時の心電図モニターの波形(別冊No.23A)を別に示す。AEDによる除細動で洞調律に戻った後、救急外来に搬送された。救急外来での12誘導心電図(別冊No.23B)を別に示す。

この疾患について正しいのはどれか。2つ選べ。

a.X連鎖劣性遺伝をする。

b.Kent束が関連した病態である。

c.植込み型除細動器の適応となる。

d.発熱後に不整脈が誘発されやすい。

e.治療にはIc群のNaチャンネル遮断薬が第一選択となる。

規則的なQRS波が同定できず、振幅・周期が乱れた心室細動の波形。
心停止時のモニター波形A(別冊No.23) / 出典:厚生労働省・第115回A別冊(原本の該当ページ)
洞調律で右前胸部誘導V1〜V2にST上昇と再分極異常を認める。記録速度・較正を保持。
除細動後12誘導心電図B(別冊No.23) / 出典:厚生労働省・第115回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

若年男性の夜間心停止、発熱を契機とした心室細動、洞調律時の右前胸部誘導のBrugada型ST変化からBrugada症候群を考えます。心停止から蘇生された例では二次予防の植込み型除細動器〈ICD〉が適応となります。発熱は心電図変化と致死的不整脈を誘発し得るため速やかに対応します。Ic群Naチャネル遮断薬は病態を増悪し得る薬剤で、第一選択治療ではありません。

画像の見方

Aは振幅・周期が不規則で整ったQRSのない心室細動です。BはV1〜V2のJ点・ST上昇とV1の陰性T波を伴う右前胸部誘導のBrugada型変化を示します。

各選択肢の検討

a.X連鎖劣性ではありません。遺伝子が同定される家族例では常染色体優性が基本で、不完全浸透や孤発例もあります。

b.Kent束はWPW症候群の副伝導路であり、本例とは異なります。

c.正しい。心室細動による心停止の既往があるため二次予防の対象です。

d.正しい。発熱を誘因として心電図変化や心室細動が顕在化し得ます。

e.Naチャネル遮断によりBrugada型心電図や不整脈を誘発し得ます。診断負荷に用いる場合は専門的管理が必要です。

覚えるポイント

Brugada症候群の心停止蘇生例はICD。発熱とNaチャネル遮断薬に注意する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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