歩行介助が必要になった独居高齢者の退院支援|第114回医師国家試験F65

第114回医師国家試験 F65(2020年)

正答:c

問題

86歳の女性。発熱を主訴に来院した。

現病歴:2日前に長男が患者に連絡した際「風邪をひいている」との訴えがあった。本日長男が連絡した際に電話がつながらなかったため長男が訪問したところ、発熱があり食事も摂れず布団の中でぐったりしていた。長男に付き添われて来院した。

既往歴:70歳から2型糖尿病で内服加療中。82歳時に脳梗塞を発症、後遺症による左下肢不全麻痺がある。

生活歴:1人暮らしをしており、近所に住む息子が週2〜3回訪問していた。

家族歴:妹が脂質異常症。

現症:意識レベルはGCS 14(E4V4M6)。身長150 cm、体重38 kg。体温38.2 ℃。脈拍100/分、整。血圧120/72 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腋窩は乾燥している。体表に外傷は認めなかったが、左大転子部に発赤を認める。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖2+、潜血(−)。血液所見:赤血球490万、Hb 16.0 g/dL、Ht 47%、白血球9,000(好中球60%、リンパ球40%)、血小板36万。血液生化学所見:尿素窒素56 mg/dL、クレアチニン1.2 mg/dL、随時血糖360 mg/dL、HbA1c 8.0%(基準4.6〜6.2)、Na 130 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 91 mEq/L。CRP 0.3 mg/dL。頭部CTで陳旧性脳梗塞を認める。

10日間の入院加療によって全身状態が改善したため退院を検討している。入院前は2型糖尿病治療のため、月1回本人が1人で外来受診していた。しかし、現時点で歩行には介助が必要であり、1人で外来を受診するのは難しいと判断している。

退院に向けての本人および家族への説明で適切なのはどれか。

a.「外出は控えるようにしてください」

b.「自宅に帰ると認知機能が低下します」

c.「要介護認定の申請をご検討ください」

d.「高次医療機関への転院を検討しましょう」

e.「HbA1cを6.0%未満にコントロールする必要があります」

正答の理由

独居で歩行・通院に介助が必要となっており、介護保険サービスにつなぐため要介護認定の申請を勧めます。本人の希望や家族の支援力を確認し、リハビリテーション、通院・在宅診療、生活支援等を組み合わせます。

各選択肢の検討

a.誤り。一律に活動を制限せず、安全な外出や移動を支援します。

b.誤り。自宅へ戻ると必ず認知機能が低下するという根拠はありません。

c.正しい。市区町村への認定申請を通じ、必要な支援につなげます。

d.誤り。全身状態が改善した本例で、高次医療機関への転院を要する病態は示されていません。

e.誤り。高齢者では低血糖リスク、ADL、支援体制を考慮して目標を個別化し、一律に6.0%未満を求めません。

覚えるポイント

退院後の生活機能に応じて要介護認定と地域の支援を調整する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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