第114回医師国家試験 E48(2020年)
正答:a
問題
48歳の男性。倦怠感と口渇を主訴に来院した。
現病歴:2年前から糖尿病を指摘されていたが医療機関を受診していなかった。3か月前から倦怠感、体重減少および口渇が出現した。ここ数日で口渇が顕著になったため来院した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:会社員で1人暮らし。喫煙歴は15本/日を28年間。36歳から禁酒している。朝食は菓子パン、昼食は社内食堂の定食、夕食はコンビニエンスストアのお惣菜などの食生活である。
家族歴:父が72歳の時に膵癌。母が脂質異常症。
現症:意識は清明。身長174 cm、体重90 kg。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧126/88 mmHg。呼吸数24/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内の乾燥を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。アキレス腱反射の低下を認める。
検査所見:尿所見:蛋白1+、糖4+、ケトン体4+、潜血(−)。血液所見:赤血球478万、Hb 15.4 g/dL、Ht 35%、白血球9,800、血小板15万。血液生化学所見:総蛋白7.1 g/dL、AST 29 U/L、ALT 54 U/L、LD 214 U/L(基準120〜245)、γ-GT 173 U/L(基準8〜50)、尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、随時血糖281 mg/dL、HbA1c 10.8%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール150 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L。
血糖コントロールのためインスリン自己注射の指導を行うことになった。
適切なのはどれか。
a.自己血糖測定機器の指導も行う。
b.未使用のインスリン製剤は常温で保管する。
c.21Gの注射針を使用する。
d.注射は毎回同じ部位に行うように指導する。
e.薬剤の注入はできるだけ急速に行うように指導する。
正答の理由
インスリン自己注射では、適切な投与に加えて血糖の把握や低血糖への対処を学ぶ必要があります。血糖自己測定機器の使い方と結果の見方も確認し、患者が実際にできることを一緒に確かめます。
各選択肢の検討
a.正しい。機器の使用方法や測定のタイミング、結果の記録・活用を指導します。
b.誤り。未開封の製剤は原則として凍結を避け冷蔵保管します。使用中の保管条件・使用期限は製剤ごとの説明に従います。
c.誤り。皮下注射には細い専用の注射針を使用します。21Gのような太い針を選びません。
d.誤り。同じ一点への反復注射を避け、同じ領域の中でも少しずつ位置をずらします。皮下の硬結や脂肪肥厚にも注意します。
e.誤り。できるだけ急速に注入するという指導ではありません。器具に合った手順で注入し、所定の時間を置いて針を抜きます。
覚えるポイント
自己注射と血糖測定を併せて指導する。未開封は原則冷蔵、注射点はずらす。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第114回医師国家試験問題および正答
- 糖尿病情報センター:血糖自己測定について
- 糖尿病情報センター:血糖値を下げる注射薬・注射方法と保管
- 糖尿病情報センター:注射製剤の保管方法
- NHS Sussex:インスリンペン専用針の例(31〜32G)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。