胸部外傷後CTの気胸・肺挫傷・肋骨骨折|第114回医師国家試験D73

第114回医師国家試験 D73(2020年)

正答:a・b・e

問題

83歳の男性。作業中に3 mの高さから転落し、背部痛と呼吸困難のため救急車で搬入された。胸腔ドレナージ後の胸部造影CT(別冊No. 33A〜C)を別に示す。

画像所見として認められるのはどれか。3つ選べ。

a.気胸

b.肺挫傷

c.気管断裂

d.縦隔気腫

e.肋骨骨折

左胸腔前方の気胸と、左肺背側の斑状濃度上昇、左胸壁の皮下気腫。
別冊No. 33A:胸部造影CT・肺野条件 / 出典:厚生労働省・第114回D別冊(原本の該当ページ)
左肋骨皮質の段差、胸壁内の空気と左胸腔後方の貯留を示すCT。
別冊No. 33B:胸部造影CT / 出典:厚生労働省・第114回D別冊(原本の該当ページ)
左側胸壁の肋骨の皮質不連続と周囲の皮下気腫を示す胸部CT。
別冊No. 33C:胸部造影CT / 出典:厚生労働省・第114回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

肺野条件Aでは左胸腔前方に肺紋理のない空気の領域があり、ドレナージ後も残る気胸を認めます。左肺背側には肺挫傷に対応する斑状の濃度上昇があります。胸壁の肋骨には皮質の断裂・段差がみられ、肋骨骨折を認めます。胸壁の皮下気腫と縦隔内の空気を区別し、提示画像で明らかな気管断裂や縦隔気腫を示す所見はありません。

画像の見方

Aで左胸腔前方に肺紋理のない空気があり、左肺はその背側に退縮しています。左肺背側の斑状濃度上昇は肺挫傷に対応します。B・Cを含め左肋骨の皮質の不連続と段差、胸壁の皮下気腫も確認できます。皮下の空気を縦隔気腫と取り違えないことが重要です。

各選択肢の検討

a.正しい。左胸腔前方の空気と虚脱した肺との境界がみられます。胸腔ドレーン留置後でも気胸は残存しています。

b.正しい。外傷側の左肺背側に斑状の肺野濃度上昇があり、肺挫傷に対応します。

c.本問では選ばない。提示像に気管壁の明らかな離断はありません。ただし気道損傷が臨床的に疑わしければ、CTだけで否定せず気管支鏡等で評価します。

d.本問では選ばない。胸壁には空気がありますが、縦隔内に広がる明らかな気腫とは区別します。

e.正しい。左側胸壁の肋骨に皮質の連続性の途絶や転位を認めます。

覚えるポイント

外傷CTは胸腔内の空気、肺実質、肋骨・胸壁を別々に確認する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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