悪性胸膜中皮腫と胸水ヒアルロン酸|第114回医師国家試験D59

第114回医師国家試験 D59(2020年)

正答:a

問題

65歳の女性。胸痛を主訴に来院した。1か月前から右胸痛を自覚していたが改善しないため受診した。13年前に右乳癌で手術の既往がある。30年前から建設業に従事していた。呼吸音は右下胸部で減弱、胸部の打診で右背側に濁音を認めた。胸部エックス線写真(別冊No. 26A)、胸部造影CT(別冊No. 26B)及びFDG-PET/CT(別冊No. 26C)を別に示す。胸腔鏡下生検を施行した結果、カルレチニン免疫組織染色が陽性である悪性細胞を認めた。

この患者で高値を示すのはどれか。

a.胸水ヒアルロン酸

b.胸水トリグリセリド

c.血清α-フェトプロテイン〈AFP〉

d.胸水アデノシンデアミナーゼ〈ADA〉

e.血清アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉

右胸水と右胸郭の透過性低下を認める胸部写真。
A:胸部エックス線写真 / 出典:厚生労働省・第114回D別冊(原本の該当ページ)
右胸膜のびまん性肥厚と、胸膜に沿う強いFDG集積を認めるCT・PET/CT。
B:造影CT・C:FDG-PET/CT / 出典:厚生労働省・第114回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

建設業の職業歴、右胸水とびまん性の胸膜肥厚・FDG集積、カルレチニン陽性の悪性細胞から悪性胸膜中皮腫を考えます。胸水ヒアルロン酸が高値となることがありますが、感度は十分ではなく、単独で診断・除外する検査ではありません。実際の病理診断では形態と複数の免疫染色等を合わせ、乳癌の胸膜転移なども鑑別します。

画像の見方

胸部写真では右胸水と胸郭の左右差があり、CTでは右胸膜がびまん性・不整に肥厚しています。PET/CTでは肥厚した胸膜に沿う強い集積があり、胸膜を主体とする腫瘍を考えます。

各選択肢の検討

a.正しい。中皮腫で高値となり得る胸水成分です。

b.誤り。主に乳び胸の診断に用いる項目です。

c.誤り。肝細胞癌・一部の胚細胞腫瘍などで上昇する血清マーカーで、中皮腫の特徴的指標ではありません。

d.誤り。結核性胸膜炎などで上昇する補助指標で、提示病態ではヒアルロン酸が合います。

e.誤り。サルコイドーシスなどで上昇し得ますが、本例の中皮腫を示す指標ではありません。

覚えるポイント

中皮腫では胸水ヒアルロン酸高値を認め得るが、確定診断は病理評価による。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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