第114回医師国家試験 D41(2020年)
正答:c
問題
65歳の女性。下腿浮腫を主訴に来院した。1か月前から下腿浮腫と軽度の労作時呼吸困難感があり改善しないため受診した。体温36.5 °C。脈拍72/分、整。血圧110/80 mmHg。呼吸数14/分。SpO2 95 %(room air)。心音は微弱で拡張早期過剰心音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。両側に著明な下腿浮腫を認める。胸部CT(別冊No. 18A)及び右心カテーテル所見(別冊No. 18B、C)を別に示す。
治療で選択すべきなのはどれか。
a.β遮断薬
b.コルヒチン
c.心膜切除術
d.心囊ドレナージ
e.経カテーテル心室中隔焼灼術


正答の理由
著明な浮腫、拡張早期過剰心音と、CTの心膜石灰化、心内圧の急速な拡張早期低下に続く平坦化から収縮性心膜炎を考えます。慢性的な心膜の拘束を解除する治療は心膜切除術です。新規の一過性収縮で活動性炎症を伴う場合には抗炎症治療で改善することもあり、すべての収縮所見を直ちに手術対象とするわけではありません。
画像の見方
CTでは心臓周囲に線状の高吸収、心膜石灰化を認めます。右房圧波形では下降脚が目立ち、右室圧は拡張早期に急速低下してから高い平坦部へ移るdip and plateauを示します。心膜による拡張期充満制限を考える所見です。
各選択肢の検討
a.固定した心膜の拘束そのものを解除できず、本問の根治的治療ではありません。
b.炎症性心膜炎に用いますが、慢性の石灰化・拘束が主体の本例では心膜切除を考えます。
c.正しい。症候性で持続する収縮性心膜炎の拘束解除を目的に行います。
d.心囊液によるタンポナーデの治療です。本例の主病態は心膜自体の拘束です。
e.閉塞性肥大型心筋症に用いる治療で、心膜の拘束を改善しません。
覚えるポイント
収縮性心膜炎は心膜石灰化・右心不全・dip and plateau。慢性固定性なら心膜切除を検討。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。