第114回医師国家試験 C65(2020年)
正答:c
問題
23歳の男性。自宅で倒れているのを発見され救急車で搬入された。
現病歴:徹夜でゲームをしており、昨夜から母親の制止を聞かずに市販のカフェイン含有飲料を多量に飲用していた。摂取カフェイン総量は2,500 mg以上と推定された。今朝、自宅で倒れているのを母親が発見し救急車を要請した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:家族と同居、一日中家にいて、外出することは少ない。3年前に退職後は定職についていない。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:呼びかけにより開眼、「アー」と発語はあるが問いかけには答えられない。痛み刺激に対して手で払いのける。体温38.2 ℃。心拍数148/分、整。血圧98/70 mmHg。呼吸数30/分。SpO2 97 %(マスク5 L/分酸素投与下)。瞳孔径5 mmで左右差を認めない。口腔内に吐物を認める。運動麻痺を認めない。腱反射の異常を認めない。心音に異常を認めない。両胸部にcoarse cracklesを聴取する。多量の尿失禁を認める。
検査所見:血液所見:赤血球459万、Hb 15.1 g/dL、Ht 44 %、白血球11,400、血小板25万。血液生化学所見:AST 28 U/L、ALT 24 U/L、CK 624 U/L(基準30〜140)、尿素窒素40 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、血糖112 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 96 mEq/L。CRP 2.4 mg/dL。
救急外来での処置後に集中治療室においてエコー下で右内頸静脈から中心静脈カテーテルを留置する方針となった。局所麻酔後にカテーテル留置のための穿刺を行ったところ鮮紅色の血液の逆流を認めた。穿刺針を抜去したところ同部位が急速に腫脹し始めた。血圧92/60 mmHg。心拍数130/分、整。
直ちに行うべきなのはどれか。
a.赤血球輸血
b.昇圧薬の投与
c.局所の圧迫止血
d.逆流した血液の血液ガス分析
e.反対側でのカテーテル挿入手技の継続
正答の理由
抜針後に頸部が急速に腫脹しており、動脈誤穿刺による血腫形成を疑います。直ちに局所を圧迫して出血を抑え、気道圧迫や血腫拡大を監視します。これは穿刺針を既に抜去した症例です。太いカテーテルやダイレーターが動脈内に入った場合に、むやみに抜かず専門科へ相談する対応とは区別します。
各選択肢の検討
a.第一選択ではない。必要に応じて出血量や循環を評価しますが、まず出血部を圧迫します。
b.第一選択ではない。昇圧だけでは出血源を制御できません。
c.正しい。既に抜針後であり、直ちに圧迫して血腫の増大を防ぎます。
d.優先しない。血液の色だけで動脈と断定しない原則はありますが、既に腫脹が進む状況で止血を遅らせません。
e.誤り。穿刺を中断し、出血と気道への影響に対応します。
覚えるポイント
抜針後の急速な頸部腫脹には圧迫止血。太い器具の動脈誤留置は別対応。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第114回医師国家試験問題および正答
- Association of Anaesthetists:Safe vascular access 2016・Arterial puncture/Accidental arterial cannulation
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。