第114回医師国家試験 B30(2020年)
正答:e
問題
78歳の男性。食欲不振、体重減少と全身倦怠感を主訴に来院した。2年前に膵頭部癌で切除術を受けたが、1年前に肝と肺への多発転移を指摘された。本人および家族ともにこれ以上の抗癌治療を望まず、通院していなかったという。1か月前から食欲不振と5 kgの体重減少をきたし、1週前から全身倦怠感も認めるようになったため再度受診した。疼痛や不眠を認めない。身長167 cm、体重38 kg。体温36.0 ℃。脈拍80/分、整。血圧100/68 mmHg。呼吸数14/分。癌悪液質と診断した。
この時点での対応として正しいのはどれか。
a.NSAIDを投与する。
b.抗うつ薬を投与する。
c.抗癌治療を実施する。
d.直ちに高カロリー輸液を行う。
e.在宅ケアに関する患者の意向を聞く。
正答の理由
進行癌の療養で、本人はこれ以上の抗癌治療を望んでいません。現在のつらさや治療で改善し得る要因を評価しながら、どこでどのように過ごしたいかを本人に確認し、緩和ケア・在宅支援の体制を相談します。癌悪液質は単純な摂取不足とは異なり、高カロリー輸液を直ちに始めれば改善する病態ではありません。
各選択肢の検討
a.疼痛はなく、現時点で鎮痛目的のNSAIDを一律に開始する根拠はありません。
b.抑うつ状態の評価は大切ですが、食欲不振・倦怠感だけからうつ病と決めて投与しません。
c.本人の希望を無視して抗癌治療を実施しません。意思が変わったかも含めて丁寧に話し合います。
d.人工栄養の利益と負担を個別に検討します。体重減少だけを理由に高カロリー輸液を直ちに開始しません。
e.正しい。本人が望む療養場所と支援内容を確認し、在宅医療等の選択肢を提示します。
覚えるポイント
抗癌治療を受けない選択でも、症状緩和と療養支援は継続する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。