第114回医師国家試験 B28(2020年)
正答:a
問題
23歳の女性。全身倦怠感を主訴に受診した。2週前に市販の妊娠検査薬が陽性となり来院し、子宮内に胎囊と10 mmの胎芽を認めた。10日前から悪心を自覚し、1週前から嘔吐を繰り返し、食事がほとんど摂取できていないという。性器出血や下腹部痛の訴えはない。意識は清明。身長155 cm、体重50 kg。妊娠前の体重は54 kgであった。体温37.1 ℃。脈拍84/分、整。血圧122/68 mmHg。呼吸数16/分。口唇の乾燥を認める。経腟超音波検査にて頭殿長20 mmの胎児と心拍動を認める。
まず行う検査はどれか。
a.尿ケトン体
b.血中hCG定量
c.甲状腺機能検査
d.動脈血ガス分析
e.上部消化管内視鏡検査
正答の理由
妊娠初期の反復する嘔吐と摂食困難、約7.4 %の体重減少があり、妊娠悪阻を考えます。2020年の本問の公式正答は、摂取不足に伴うケトーシスを調べる尿ケトン体です。ただし、現在の指針では尿ケトン体を脱水や悪阻の重症度の指標として用いません。症状・摂取量・体重・循環状態、電解質や腎機能等を総合的に評価します。
各選択肢の検討
a.公式正答です。飢餓に伴うケトン体産生を簡便に把握できますが、陰性だから軽症・治療不要とは判断しません。
b.子宮内の胎児と心拍を既に確認しており、摂食困難の初期評価として最優先ではありません。
c.甲状腺疾患を疑う所見や経過があれば検査しますが、本問でまず選ぶものではありません。
d.意識障害、呼吸異常、重い酸塩基異常が疑われる場合などに検討し、本例の最初の検査ではありません。
e.消化管出血など他疾患を疑う状況は別として、典型的な妊娠初期の悪心・嘔吐でまず実施しません。
覚えるポイント
尿ケトン体は飢餓の参考情報であり、脱水・悪阻重症度の代用にしない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。