第114回医師国家試験 A43(2020年)
正答:c
問題
36歳の男性。前頸部腫瘤を主訴に来院した。2か月前に初めて自覚したが、その後、腫瘤の大きさに変化はない。前頸部傍正中の舌骨付近に半球状、単発の25×25 mmの柔らかい腫瘤を触れる。嚥下時にこの腫瘤は挙上する。頸部造影CT(別冊No.16)を別に示す。
診断はどれか。
a.側頸囊胞
b.皮様囊胞
c.正中頸囊胞
d.腺腫様甲状腺腫
e.囊胞状リンパ管腫


正答の理由
舌骨付近の前頸部正中〜傍正中にある囊胞性腫瘤が、嚥下で挙上しています。甲状舌管の遺残に由来する正中頸囊胞〈甲状舌管囊胞〉に典型的です。舌骨・舌根部と関係するため嚥下や舌の運動に伴って動き、成人で発見されることもあります。
画像の見方
舌骨付近の前頸部、正中からやや外れた位置に境界明瞭な低吸収の囊胞性病変がみられます。矢状断でも舌骨との位置関係が分かります。嚥下時の挙上という診察所見と合わせ、甲状舌管囊胞を考えます。
各選択肢の検討
a.通常は胸鎖乳突筋前縁などの側頸部にみられます。舌骨付近の傍正中で嚥下に伴い挙上する本例とは位置・動きが異なります。
b.正中にも生じますが、舌骨付近で嚥下とともに動くことは正中頸囊胞をより支持します。
c.正しい。甲状舌管の遺残に由来し、舌骨付近の前頸部囊胞としてみられます。
d.甲状腺内の結節性病変が主体です。提示された舌骨付近の囊胞とは合いません。
e.軟らかい囊胞性病変ですが、多房性で周囲組織の間に広がるものが多く、甲状舌管に沿う本例の所見と異なります。
覚えるポイント
舌骨付近の正中〜傍正中腫瘤が嚥下で挙上すれば、甲状舌管囊胞を考える。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。