急速に増大して縮小するケラトアカントーマ|第113回医師国家試験D20

第113回医師国家試験 D20(2019年)

正答:e

問題

68歳の男性。手背の結節を主訴に来院した。3週間前に右手背の3 mm大の皮疹に気付いた。皮疹が最近2週間で急速に増大してきたため受診した。右手背に径12 mmの褐色調の腫瘤を認め、中央に角栓を伴う。波動はなく弾性硬に触知する。腫瘤の部分生検では、中央が陥凹して角質が充満し、有棘細胞の腫瘍性増殖を認めた。腫瘤は生検1か月後にピーク時の25%以下に縮小した。右手背の写真(別冊No.4A)及び生検組織のH-E染色標本(別冊No.4B)を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.粉瘤

b.基底細胞癌

c.有棘細胞癌

d.グロムス腫瘍

e.ケラトアカントーマ

中央に白黄色の角栓を伴う、褐紅色の半球状結節。
右手背の結節A / 出典:厚生労働省・第113回D別冊(原本の該当ページ)
角化を伴う有棘細胞の増殖と、中央の角質を満たす陥凹。100µmおよび1mmのスケール付き。
H-E染色標本B・高倍率と低倍率 / 出典:厚生労働省・第113回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

日光に露出する高齢者の手背に急速に増大した結節ができ、中央に角質を満たす陥凹を認め、その後に著しく縮小しています。この経過と形態はケラトアカントーマに典型的です。有棘細胞癌との臨床・組織学的な鑑別が難しい病変でもあるため、自然退縮しうるという特徴だけで全例を放置してよいわけではありません。

画像の見方

手背の結節の中心に角栓がみられます。低倍率では中央に角質を満たす陥凹、高倍率では角化を伴う扁平上皮系細胞の増殖を認めます。

各選択肢の検討

a.誤り。粉瘤は角質を含む嚢胞ですが、中央陥凹を伴う有棘細胞の腫瘍性増殖と急速増大・退縮を合わせた像とは異なります。

b.誤り。基底細胞様の腫瘍細胞を特徴とし、提示された有棘細胞増殖と退縮性経過を最もよく説明しません。

c.誤り。重要な鑑別であり一部生検では区別が難しいこともありますが、本問では火山口状の角栓と急速な増大後の縮小がケラトアカントーマを支持します。

d.誤り。爪下などの強い疼痛・圧痛・冷刺激痛が代表的で、この角化性腫瘤の経過とは異なります。

e.正しい。中央に角質を満たす陥凹を伴い、急速増大後に退縮しうる病変です。

覚えるポイント

中央の角栓+急速増大後の退縮はケラトアカントーマ。ただし有棘細胞癌との鑑別を要する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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