第113回医師国家試験 B46(2019年)
正答:e
問題
72歳の男性。膵癌手術後に通院中である。
現病歴:6か月前に膵癌の手術を受けた。術後6か月検査の結果、他臓器に転移が見つかり、余命3か月との告知を受けた。
既往歴:60歳から高血圧症、62歳から脂質異常症で内服治療中。
生活歴:喫煙は20歳から20本/日。飲酒は機会飲酒。息子夫婦と同居している。
家族歴:父が高血圧症、心筋梗塞。
現症:意識は清明。身長165 cm、体重48 kg。体温36.8 ℃。脈拍72/分、整。血圧134/74 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腹部正中に手術痕を認める。
患者は主治医に「先生、もうこれからどうしていいかわからないよ」と訴えた。
医師の応答として適切なのはどれか。
a.「私もわからないですよ」
b.「現実を受け止めてください」
c.「もう少ししっかりしてください」
d.「ご近所の医療機関に変わってください」
e.「そうですね。今後のことは一緒に考えましょう」
正答の理由
転移と限られた予後を告げられ、先が見えない不安・混乱を表出しています。気持ちを受け止め、見放さずに今後の生活や治療・ケアをともに考える姿勢を示すeが適切です。根拠のない安心を約束するのではなく、本人の心配や大切にしたいことを聞き、支援につなげます。
各選択肢の検討
a.本人の困惑に対して支援の姿勢が伝わらず、孤立感を強める可能性があります。
b.受け止めることを一方的に求め、現在の気持ちへの理解が不足しています。
c.本人を叱責する応答で、不安の表出を妨げます。
d.転医先を探すことが必要な場合でも、ここで唐突に勧めると見放されたと感じさせます。
e.正しい。感情を受け止め、継続して一緒に考える姿勢を示しています。
覚えるポイント
予後告知後は感情への共感と、今後も支える姿勢を言葉にする。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。