第113回医師国家試験 B42(2019年)
正答:a
問題
79歳の女性。上腕から背中の痛みとこわばりを主訴に来院した。
現病歴:2週間前に、両側上腕から背中にかけての痛みとこわばりが出現した。1週間前から右側の拍動性の頭痛を自覚している。また、夕方から夜にかけて38 ℃台の発熱があった。起床時に背中のこわばりがひどく、寝返りができないため受診した。2週間で体重が1.5 kg減少した。悪心、嘔吐はなく、四肢のしびれや脱力はない。
既往歴:高血圧症で内服治療中。片頭痛の既往はない。
生活歴:独居生活。喫煙歴と飲酒歴はない。
現症:意識は清明。体温38.9 ℃。脈拍104/分、整。血圧142/80 mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜は貧血様である。右側頭部に索状の腫脹と圧痛を認めるが、皮疹は認めない。項部硬直はなく、頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛や腫瘤を認めない。ばち指、Osler結節および下腿浮腫を認めない。両側の上腕に把握痛を認める。関節に腫脹と圧痛を認めない。
まず確認すべきなのはどれか。
a.視力低下
b.歯科治療歴
c.気分の落ち込み
d.頭痛薬の濫用歴
e.片頭痛の家族歴
正答の理由
高齢者の新規側頭部痛、索状の腫脹・圧痛、発熱、肩帯の痛み・こわばりから、リウマチ性多発筋痛症を伴う巨細胞性動脈炎を強く疑います。眼への血流障害で不可逆的な失明を来すことがあるため、まず視力低下や一過性黒内障、複視などの視覚症状を確認します。疑いが強い場合、確定検査のために治療を不必要に遅らせません。
各選択肢の検討
a.正しい。失明につながる眼虚血の評価を優先します。
b.感染性心内膜炎などの鑑別には役立ちますが、側頭動脈炎を疑うこの場面では視覚症状を先に確認します。
c.心理状態の評価も必要ですが、緊急性の高い失明リスクの確認が先です。
d.薬剤使用歴は頭痛評価の一部ですが、典型的な血管所見を説明する情報ではありません。
e.高齢初発の頭痛と側頭動脈の異常があり、片頭痛の家族歴より器質的疾患の緊急評価が重要です。
覚えるポイント
高齢者の新規側頭部痛+側頭動脈異常では巨細胞性動脈炎を疑い、まず眼虚血を確認。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。