第112回医師国家試験 F71(2018年)
正答:a
問題
中年の女性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:ホテルの部屋で倒れているのを従業員が発見し、呼びかけに反応が乏しいため救急車を要請した。救急隊到着時にはけいれんしていたが、搬送開始直後に治まった。
既往歴:不明
生活歴:不明
家族歴:不明
現症:意識レベルはJCSⅡ-20。身長160cm、体重50kg。体温38.6℃。心拍数106/分、整。血圧94/50mmHg。呼吸数24/分。SpO₂100%(マスク5L/分酸素投与下)。皮膚はやや乾燥。瞳孔径は両側6.5mmで、対光反射は両側やや緩慢。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は減弱している。四肢に麻痺はなく、腱反射は正常。
検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球450万、Hb13.9g/dL、Ht42%、白血球11,200、血小板16万、PT-INR1.2(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST46U/L、ALT32U/L、CK1,500U/L(基準30〜140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖98mg/dL、Na141mEq/L、K4.5mEq/L、Cl102mEq/L。動脈血ガス分析(マスク5L/分酸素投与下):pH7.35、PaCO₂28Torr、PaO₂100Torr、HCO₃⁻15mEq/L。心電図は洞調律で不整はないが、QRS幅が広がりQT間隔の延長を認める。ST-T変化を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比と肺野とに異常を認めない。頭部CTに異常を認めない。
今後起こりうる合併症に対し最も重要なモニタリングはどれか。
a.心電図
b.持続脳波
c.中心静脈圧
d.観血的動脈圧
e.SpO₂
正答の理由
すでにQRS幅拡大とQT延長を認め、三環系抗うつ薬の心筋Naチャネル遮断等による心室性不整脈や伝導障害が懸念されます。心室頻拍・心室細動などの致死性不整脈を早期に捉えるため、心電図の持続監視が最も重要です。呼吸・血圧・意識等の監視も併せて必要です。
各選択肢の検討
a.正しい。QRS・QTの変化、心室性不整脈、伝導障害を監視します。
b.けいれん遷延等では必要な場合がありますが、本例の明らかな心毒性に対する最優先の監視ではありません。
c.循環評価の一部ですが、致死性不整脈を直接検出できません。
d.血圧管理が必要な場合は有用ですが、リズム監視の代わりにはなりません。
e.酸素化の監視も必要ですが、致死性不整脈やQRS延長の評価はできません。
覚えるポイント
三環系中毒のQRS延長は心毒性の警告。持続心電図で致死性不整脈を監視します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。