第112回医師国家試験 F60(2018年)
正答:e
問題
38歳の男性。生来健康であったが、2週間前から黄疸と右季肋部痛が出現したため来院した。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。20歳から印刷工場で印刷作業に従事している。腹部超音波検査を施行したところ、肝門部に腫瘤が認められた。
診断のために聴取すべきなのはどれか。
a.職場の分煙状況
b.最近5年間の健診受診の状況
c.最近3か月の時間外勤務の状況
d.作業時の防塵マスクの使用状況
e.過去に作業で使用した有機溶剤の種類
正答の理由
若年の印刷作業従事者に黄疸と肝門部腫瘤があり、胆管癌を疑って過去の有機溶剤曝露を確認します。印刷機の洗浄などで使用された1,2-ジクロロプロパンを中心に、製品名・成分、使用期間、換気や作業方法まで聴取します。職業歴だけで原因や診断を確定するのではなく、画像・病理評価等と合わせます。
各選択肢の検討
a.誤り。受動喫煙の確認は一般的な健康管理では有用ですが、本例で疑う職業性胆管癌の主要な曝露情報ではありません。
b.誤り。健診歴も確認しますが、原因を考えるには長年の化学物質曝露歴が優先されます。
c.誤り。最近の残業時間では、長期間の有機溶剤曝露を評価できません。
d.誤り。防塵マスクは主に粒子を対象とし、有機溶剤蒸気への曝露を判断する質問として不十分です。
e.正しい。過去の1,2-ジクロロプロパン等の使用・曝露を確認します。
覚えるポイント
印刷作業歴+胆管癌を疑う所見では、過去の有機溶剤の種類と曝露期間を確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。