第112回医師国家試験 F52(2018年)
正答:c
問題
75歳の女性。3か月前から持続する血便と食欲不振の精査のため大腸内視鏡検査を行ったところ上行結腸癌と診断された。手術を受けることに対しての不安が強い。身長150cm、体重46kg。3か月間に5kgの体重減少があった。体温36.2℃。脈拍72/分。血圧120/60mmHg。呼吸数12/分。眼瞼結膜は軽度貧血様である。胸腹部エックス線写真と腹部CTとで他臓器への転移や閉塞を思わせる腸管拡張や腹水貯留を認めない。
この患者の周術期管理として適切なのはどれか。
a.栄養サポートチーム〈NST〉への依頼は不要である。
b.術直前の抗菌薬投与は行わない。
c.術前4時間までの飲水は許可する。
d.術前中心静脈栄養を行う。
e.術後72時間以上はベッド上安静とする。
正答の理由
消化管閉塞はなく、誤嚥リスクを個別に評価した上で、清澄水の飲水を術前4時間まで許可するcを選びます。一般的な待機手術では清澄水は麻酔2時間前まで可能とする指針もあり、4時間が必須の最短絶飲時間という意味ではありません。体重減少もあるため栄養評価は必要ですが、消化管が利用できる患者に中心静脈栄養を一律に行うわけではありません。
各選択肢の検討
a.誤り。3か月で約10%の体重減少と食欲不振があり、栄養評価やNSTの関与を検討します。
b.誤り。大腸手術では手術部位感染を防ぐため、適切な術前予防抗菌薬を用います。
c.正しい。閉塞・胃排出遅延などの誤嚥リスクを確認し、清澄水を術前4時間まで許可する選択肢です。牛乳や固形物に同じ基準を適用しません。
d.誤り。栄養介入が必要でも、経口・経腸摂取の可否を評価して経路を選びます。中心静脈栄養が自動的に必要とはなりません。
e.誤り。状態が許せば早期離床を進め、長期臥床による合併症を防ぎます。
覚えるポイント
不要な長時間の絶飲を避け、栄養・感染予防・早期離床を合わせて管理する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。