脊椎転移の痛み増悪とオピオイド調整|第112回医師国家試験F50

第112回医師国家試験 F50(2018年)

正答:d

問題

66歳の女性。後頸部痛の増強と左上肢のしびれとを主訴に来院した。進行肺腺癌に対して外来で抗癌化学療法を施行している。以前から頸胸椎転移による後頸部痛があり、抗癌化学療法と併行してアセトアミノフェンとオキシコドンによる疼痛治療を受けていた。良好な疼痛緩和が得られていたが、2週間前に後頸部痛の増強と新たに左上肢のしびれが出現し、睡眠も妨げられるようになったため受診した。

第一胸椎レベルの軟部条件の胸部CT(別冊No.3)を別に示す。

対応として適切でないのはどれか。

a.放射線療法

b.椎弓切除術

c.オキシコドンの増量

d.リン酸コデインの追加

e.オピオイドローテーション

第一胸椎の骨破壊と周囲軟部組織を示す胸部CT軸位像。
第一胸椎レベルの胸部CT・軟部条件(別冊No.3) / 出典:厚生労働省・第112回F別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

強オピオイドのオキシコドンで治療中の痛みが増悪した場合、評価の上で増量や他の強オピオイドへの変更を検討します。弱オピオイドのコデインを重ねる方法は適切ではありません。また、新たな上肢のしびれと骨破壊があり、脊髄・神経根の圧迫や不安定性を急いで評価して、局所治療につなげます。

画像の見方

第一胸椎の椎体・左側後方要素に骨破壊と軟部組織病変があり、脊柱管近傍へ及んでいます。痛みの増悪と新たなしびれを合わせ、神経圧迫や不安定性を評価する所見です。CTのこの1断面だけで脊髄の状態や除圧・固定の術式を確定せず、MRI等と専門評価を行います。

各選択肢の検討

a.選択肢として適切です。転移巣への放射線治療は疼痛緩和や局所制御に用います。神経症状や安定性に応じて手術との選択・順序を判断します。

b.選択肢として検討します。神経圧迫がある場合は除圧手術の適応を評価します。ただし病変の位置と脊椎の安定性によっては固定等も必要で、単純な椎弓切除を一律に行うわけではありません。

c.適切です。痛みや副作用、臓器機能を確認し、オキシコドンを調整する選択肢があります。

d.不適切であり、本問の正答です。強オピオイドに弱オピオイドのコデインを追加するより、強オピオイドを適切に調整します。

e.適切です。効果不足や副作用があるときは、換算量と不完全交差耐性に注意して他のオピオイドへの変更を検討します。

覚えるポイント

脊椎転移に新たな神経症状があれば緊急評価。強オピオイドへコデインを重ねない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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