第112回医師国家試験 D54(2018年)
正答:a
問題
89歳の男性。発熱と意識レベルの低下とを主訴に来院した。2年前に脳梗塞を発症し嚥下困難となったため、胃瘻から栄養を摂っている。この1年間で2回、肺炎に罹患している。2週間前、38℃台の発熱があり、意識障害を認めたため、入所中の特別養護老人ホームの職員に連れられて来院した。胸部エックス線写真で両側下肺野にすりガラス陰影を認めた。入院し抗菌薬の投与を行ったところ、症状は改善し退院することとなった。合併症に対する内服薬を胃瘻から投与している。
肺炎再発リスクとなる可能性の高い薬剤はどれか。
a.睡眠薬
b.去痰薬
c.胃粘膜保護薬
d.腸管蠕動改善薬
e.カルシウム拮抗薬
正答の理由
脳梗塞後の嚥下障害を背景に誤嚥性肺炎を繰り返していると考えます。睡眠薬、とくに鎮静作用の強い薬剤は意識・覚醒や気道防御に影響し、誤嚥や肺炎のリスクとなり得ます。胃瘻があっても唾液や逆流物の誤嚥は防ぎ切れません。薬剤ごとの必要性・用量を見直しますが、長期服用薬を一律に急に中止することは避けます。
各選択肢の検討
a.正しい。鎮静による気道防御低下が問題になります。ベンゾジアゼピン使用と肺炎リスクの関連を示す観察研究もありますが、すべての睡眠薬で同じ危険度という意味ではありません。
b.誤り。喀痰排出を助ける薬で、この中で鎮静による誤嚥リスクを最も考える薬ではありません。
c.誤り。胃粘膜を保護する薬であり、今回の中心的な再発リスク薬ではありません。酸分泌抑制薬とは区別します。
d.誤り。消化管運動を改善する薬で、鎮静による誤嚥リスクを高める代表的な薬ではありません。
e.本問では選びません。降圧等に用いる薬で、選択肢の中では睡眠薬による覚醒低下がより重要です。個別の薬剤による逆流等の影響は別途評価します。
覚えるポイント
嚥下障害のある高齢者では、胃瘻の有無にかかわらず鎮静性薬剤を見直す。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。