第112回医師国家試験 D51(2018年)
正答:b
問題
65歳の男性。飲酒後の悪心と上腹部痛とを主訴に来院した。身長165cm、体重90kg。体温37.5℃。脈拍112/分、整。血圧108/60mmHg。腹部は平坦で、上腹部に圧痛を認める。
尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液生化学所見:総ビリルビン0.8mg/dL、AST 35U/L、ALT 30U/L、アミラーゼ2,540U/L(基準37〜160)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL。腹部超音波検査を行ったが、消化管ガスのため上腹部の観察は困難であった。
次に行うべき検査はどれか。
a.血管造影
b.腹部造影CT
c.上部消化管造影
d.上部消化管内視鏡検査
e.内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉
正答の理由
飲酒後の上腹部痛と著明なアミラーゼ上昇から急性膵炎を疑います。超音波で十分に観察できていないため、選択肢では腹部造影CTで膵臓と周囲の炎症、合併症や他疾患を評価します。ただし急性膵炎の全例で診断直後の造影CTを必須とする意味ではありません。診断が明らかな軽症例では不要なことがあり、壊死・重症度評価の時期は発症からの時間も考慮します。
各選択肢の検討
a.誤り。出血性合併症の治療等で用いる場合はありますが、初期の膵炎評価のための検査ではありません。
b.正しい。超音波の観察不良を補い、膵臓・膵周囲の炎症と他の腹部疾患を評価できます。
c.誤り。消化管内腔の造影では膵炎の評価に不十分です。
d.誤り。胃・十二指腸粘膜の観察には有用ですが、膵臓の炎症と広がりを直接評価できません。
e.誤り。診断目的で一律に行いません。胆管炎や持続する胆管閉塞を伴う胆石性膵炎などでは治療目的の適応を検討します。
覚えるポイント
急性膵炎が疑われ超音波で評価困難ならCTを検討する。ERCPは胆管炎・胆管閉塞等の適応を区別する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。