第112回医師国家試験 D50(2018年)
正答:b
問題
66歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3か月前から早歩きの際に呼吸困難を自覚するようになった。症状は急に始まり、そのまま歩行を続けることはできないが、立ち止まって安静にすると約3分で改善する。冷汗や眼前暗黒感、呼吸性の痛みの増強はないという。症状の頻度や程度は変わらなかったが、心配した家族に付き添われて受診した。
体温36.6℃。脈拍68/分、整。血圧132/82mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めなかった。
心電図をとって検査室から早足で外来に戻ってきたところ、いつもと同じ症状が出現してきたという訴えがあった。直ちに外来診察室でバイタルサインを確認し、心電図の再検査を行った。心拍数98/分。血圧172/92mmHg。SpO2 99%(room air)。症状は、いつもと同じ強さで出現から約2分続いている。本日受診時の心電図(別冊No.25A)と診察室での発作時の心電図(別冊No.25B)とを別に示す。
まず行うべきなのはどれか。
a.ベラパミル経口投与
b.ニトログリセリン舌下投与
c.ヘパリン静注
d.アトロピン静注
e.アドレナリン静注


正答の理由
労作で出現して数分の安静で改善する呼吸困難は、胸痛を伴わない狭心症の症状になり得ます。発作時には受診時と比べST低下が出現しており、労作性心筋虚血を考えます。現在進行中の発作には、安静と禁忌の確認のうえで速効性のあるニトログリセリン舌下投与を行います。症状が遷延する場合や増悪する場合は、急性冠症候群として迅速に評価します。
画像の見方
Aと比較してBではⅡ・Ⅲ・aVFや左側胸部誘導を中心にST低下がみられます。労作で再現する呼吸困難と対応する変化として心筋虚血を疑います。これだけで責任冠動脈は確定しません。
各選択肢の検討
a.誤り。抗狭心症薬として用いる場面はありますが、経口薬は目前の発作を直ちに軽減するための第一選択ではありません。
b.正しい。短時間作用型硝酸薬で発作の軽減を図ります。低血圧やPDE5阻害薬使用等の禁忌・注意点を確認します。
c.本問では優先しません。急性冠症候群等で抗凝固を行うことはありますが、提示された発作の最初の症状緩和には舌下硝酸薬を選びます。
d.誤り。症候性徐脈への薬であり、心拍数98/分の本例には適応がありません。
e.誤り。心停止やアナフィラキシー等に用いる薬で、心筋酸素需要を増やし虚血を悪化させ得ます。
覚えるポイント
労作時の息切れも狭心症の症状になり得る。発作の心電図変化を捉え、短時間作用型硝酸薬で対応する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。