乳腺葉状腫瘍の臨床像|第112回医師国家試験D49

第112回医師国家試験 D49(2018年)

正答:e

問題

74歳の女性。左乳房のしこりを主訴に来院した。30年前に左乳房にゴルフボール大のしこりがあるのに気付いていたが、大きさに変化がないためそのままにしていた。先日、入浴時にしこりの増大に気付き心配になり受診した。乳房に色調の変化やひきつれを認めない。表面平滑で弾性硬、可動性良好な径3cmの腫瘤を触知する。腋窩リンパ節を触知しない。左乳房のマンモグラム(別冊No.24A)と胸部CT(別冊No.24B)とを別に示す。

考えられる診断はどれか。

a.乳癌

b.乳腺炎

c.乳腺症

d.Paget病

e.乳腺葉状腫瘍

左乳房の境界明瞭な分葉状腫瘤を示すマンモグラム
左乳房マンモグラム(別冊No.24A) / 出典:厚生労働省・第112回D別冊(原本の該当ページ)
左乳房の分葉状腫瘤を示す胸部CT
胸部CT(別冊No.24B) / 出典:厚生労働省・第112回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

表面平滑で可動性のよい腫瘤が増大し、マンモグラムでも境界明瞭な分葉状腫瘤を認めます。選択肢では乳腺葉状腫瘍が最も合います。葉状腫瘍は良性から悪性まであり、画像だけで良悪性を決められません。線維腺腫との区別にも組織診断が必要で、30年前からの腫瘤がどのように変化したかは本問だけでは確定しません。

画像の見方

マンモグラムで境界明瞭な分葉状の濃厚腫瘤を認め、CTでも左乳房の分葉状腫瘤がみられます。形状は葉状腫瘍に合いますが、画像だけで線維腺腫との区別や良悪性の確定はできません。

各選択肢の検討

a.本問では選びません。乳癌も画像・触診だけで除外はできませんが、境界明瞭な分葉状で可動性良好な腫瘤の増大は葉状腫瘍をより示唆します。

b.誤り。発赤・熱感・疼痛などの炎症所見に乏しく、長年存在した充実性腫瘤の増大を説明しにくいです。

c.誤り。乳腺症では疼痛や乳腺の結節性変化等がみられますが、この分葉状の独立した腫瘤の所見には合いません。

d.誤り。乳頭・乳輪の湿疹様病変が特徴であり、本例の主所見ではありません。

e.正しい。平滑でしっかりした腫瘤が増大する臨床像に合います。病理により確定し良悪性を評価します。

覚えるポイント

境界明瞭でも増大する乳腺腫瘤では葉状腫瘍を考え、病理診断につなげる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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