第112回医師国家試験 D20(2018年)
正答:a
問題
33歳の男性。右の下腹部から側腹部にかけての激しい痛みを主訴に来院した。2日前、仕事中に右背部に軽度の痛みが出現したが、約30分で軽快した。本日午前7時ごろ、右の下腹部から側腹部にかけての激しい痛みが突然出現したため受診した。来院の途中に嘔吐があった。
意識は清明。体温36.4 ℃。血圧118/74 mmHg。顔色は蒼白で冷汗を認める。腹部は平坦で、圧痛を認めない。右の肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血3+、沈渣に赤血球100以上/1視野、正八面体の結晶を認める。血液所見:赤血球458万、Hb 14.0 g/dL、Ht 45 %、白血球9,300、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン3.7 g/dL、総ビリルビン0.9 mg/dL、直接ビリルビン0.2 mg/dL、AST 35 U/L、ALT 32 U/L、LD 179 U/L(基準176〜353)、尿素窒素22 mg/dL、クレアチニン1.2 mg/dL、尿酸6.9 mg/dL、血糖98 mg/dL、Na 132 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 97 mEq/L、Ca 9.1 mg/dL。
非ステロイド性抗炎症薬が投与され疼痛は軽減した。その後に撮影した腹部CT(別冊No.6A、B)を別に示す。
この患者に対する説明で正しいのはどれか。
a.水分摂取を勧める。
b.手術治療が必要である。
c.ビタミンCの摂取を勧める。
d.尿酸排泄促進薬が有効である。
e.カルシウムの摂取制限を勧める。

正答の理由
疝痛、血尿、正八面体の尿中結晶と右下部尿管の高吸収結石から、シュウ酸カルシウム尿管結石を考えます。鎮痛後は脱水を避け、再発予防のため十分な飲水を勧めます。ただし急性閉塞中に排石目的で無理に大量の飲水・輸液を行う意味ではありません。発熱、無尿、腎機能悪化、持続する閉塞や鎮痛困難があれば泌尿器科で処置を検討します。
画像の見方
Aでは右腎盂の軽度拡張、Bでは膀胱の右後側に小さな高吸収域を認め、右下部尿管結石を示唆します。疝痛と血尿、尿中シュウ酸カルシウム結晶を合わせて判断します。
各選択肢の検討
a.正しい。状態に応じて適切な水分を取り、長期的には尿量を確保して再発を予防します。急性疝痛時の強制的な過剰補水はしません。
b.小さい下部尿管結石では自然排石を期待できる場合があり、手術が必須とは限りません。感染性閉塞等は緊急処置の対象です。
c.ビタミンCはシュウ酸の前駆体であり、過剰摂取を勧めません。
d.尿酸排泄促進薬は尿中尿酸を増やし、尿路結石を助長し得ます。カルシウム結石に対する一般的治療でもありません。
e.通常の食事性カルシウムは制限しません。腸管内でシュウ酸と結合し、その吸収を減らすため、適量を食事から取ります。
覚えるポイント
Ca結石でも食事性Caを一律制限しない。飲水は再発予防に有用だが、急性閉塞で強制利尿はしない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。