第112回医師国家試験 A52(2018年)
正答:d
問題
41歳の男性。生石灰が主成分の薬品を用いた作業中に薬品を顔面に浴び来院した。矯正視力は両眼とも眼前手動弁。生理食塩液で持続洗眼を10分間行って、涙液のpHを試験紙で測定したところ9であった。前眼部写真(別冊No.22)を別に示す。
次に行うべき対応はどれか。
a.抗菌薬点眼
b.副腎皮質ステロイド点眼
c.希釈ポビドンヨード点眼
d.生理食塩液による洗眼続行
e.ホウ酸液による洗眼に変更

正答の理由
生石灰によるアルカリ性の化学眼外傷で、洗眼後もpH 9と生理的範囲に戻っていません。最優先は大量の生理食塩液などによる洗眼続行です。一定時間洗ったことではなく、眼表面pHが安定して正常化することを確認します。眼瞼を反転して結膜囊内に残る薬品粒子を確認・除去することも必要です。
画像の見方
両眼の角膜が強く白濁し、虹彩の観察が困難です。重い化学損傷を示す所見ですが、最初の処置は写真の重症度にかかわらず残存アルカリの除去です。pH 9という測定結果が洗眼続行の直接の根拠になります。
各選択肢の検討
a.洗眼後の上皮障害に対する感染予防等で検討しますが、残存アルカリの除去より先にはしません。
b.炎症抑制に用いる場合がありますが、まず洗眼と残留物除去を行い、その後に眼科で適応を判断します。
c.アルカリ除去の代わりにはならず、この時点で優先する処置ではありません。
d.正しい。pH 9が残っているため洗眼を続け、休止後も生理的pHが維持されるか再評価します。
e.酸性液での中和を目的とした変更は行いません。生理食塩液等で十分に洗い流します。
覚えるポイント
化学眼外傷では、点眼薬より先に速やかな洗眼と残留薬品除去を行います。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。