下行胸部・胸腹部大動脈瘤の手術と脊髄虚血|第112回医師国家試験A45

第112回医師国家試験 A45(2018年)

正答:b

問題

79歳の男性。胸部エックス線写真の異常陰影を指摘されて来院した。精査のために行った胸腹部造影3D-CT(別冊No.19)を別に示す。

この疾患に対する手術に際し、最も注意すべき合併症はどれか。

a.髄膜炎

b.脊髄梗塞

c.正常圧水頭症

d.胸郭出口症候群

e.急性硬膜下血腫

下行胸部から胸腹部にかけた大動脈の瘤状拡張を示す3D-CT
胸腹部造影3D-CT(別冊No.19) / 出典:厚生労働省・第112回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

画像では下行胸部から胸腹部にかけて大動脈瘤を認めます。この領域の手術では、肋間動脈・腰動脈などを介する脊髄血流の低下により脊髄虚血・梗塞を来し、対麻痺を生じることがあります。術前の血管評価と、術中・術後の脊髄灌流保護が重要です。

画像の見方

大動脈弓に続く下行大動脈から胸腹部にかけて、著しく拡張した瘤が見られます。この3D画像だけで特定の脊髄栄養動脈を同定したとは扱わず、手術対象領域の分節動脈と脊髄血流の関係を考えます。

各選択肢の検討

a.感染性の合併症として一般論では起こり得ますが、この部位の大動脈瘤手術に特有の重要な虚血性合併症ではありません。

b.正しい。脊髄へ向かう分節動脈の血流低下に注意します。血圧・灌流の維持などの脊髄保護を行います。

c.髄液循環障害による病態で、この領域の血流遮断からまず懸念する合併症ではありません。

d.上肢の神経・血管が胸郭出口で圧迫される病態で、大動脈瘤修復による脊髄虚血とは異なります。

e.頭蓋内出血であり、下行胸部から胸腹部の大動脈手術で特に注意する分節動脈血流障害とは異なります。

覚えるポイント

下行胸部・胸腹部大動脈の手術では、分節動脈の血流と脊髄灌流を守る。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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