第112回医師国家試験 A38(2018年)
正答:e
問題
46歳の男性。全身の痒みを伴う皮疹を主訴に来院した。3か月前から大腿、陰部および手に痒みを伴う皮疹が出現した。自宅近くの診療所で抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイド外用薬とを処方されたが効果はなく、皮疹が徐々に拡大してきたため受診した。高齢者施設の介護職員。
受診時、陰部を含む全身に鱗屑を伴う丘疹が多発していた。陰部と手背の写真(別冊No.15A、B)及び手掌のダーモスコピー像(別冊No.15C)を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
a.保健所に届け出る。
b.衣類を煮沸消毒する。
c.個室管理の上で治療を開始する。
d.皮疹が完全に治癒するまでは就業を禁止する。
e.勤務先の施設の職員と入居者に問診と診察を行う。


正答の理由
手・陰部の強い痒みと丘疹、疥癬トンネルを示唆するダーモスコピー所見から疥癬を考えます。介護施設では直接接触を介して他の職員や入居者へ広がるため、本人の治療とともに接触者を調べ、必要に応じて同時に治療します。通常疥癬と角化型疥癬では感染対策の強さが異なり、本例で一律に個室隔離や皮疹消失までの就業禁止を選ぶわけではありません。
画像の見方
Bでは手背の小丘疹、Cでは細く曲がる線状病変とその端の褐色三角形状構造が見られ、疥癬トンネルと虫体前端を示唆します。No.15Aの陰部写真は公開PDFでは非公開です。実臨床では皮膚掻爬等で虫体・虫卵を確認します。
各選択肢の検討
a.疥癬単独の診断に対する感染症法上の一律の届出ではありません。ただし施設内の集団発生では保健所等へ相談・報告する必要があります。
b.衣類や寝具の洗濯・乾燥は行いますが、通常疥癬で全ての衣類に煮沸消毒を必須とする対応ではありません。
c.角化型疥癬では個室管理など厳重な対策が必要です。通常疥癬の本例では接触予防策と治療を行い、状況に応じて管理方法を決めます。
d.治療後も痒みや皮疹が残ることがあります。復職は有効な治療の実施と感染性を評価して決め、皮疹の完全消失だけを条件にしません。
e.正しい。施設内の感染拡大を把握するため職員・入居者を評価し、濃厚接触者への治療等を検討します。
覚えるポイント
施設の疥癬は本人だけで完結させず、接触者を評価して感染の連鎖を止める。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。