壊疽を示さない虚血性大腸炎の保存的治療|第112回医師国家試験A33

第112回医師国家試験 A33(2018年)

正答:a

問題

60歳の女性。血便と腹痛とを主訴に来院した。以前から便秘がちで、最後の排便が5日前であった。2日前から腹痛を伴うようになり、新鮮血の排泄が数回あったために受診した。脂質異常症と糖尿病とで治療中である。

体温36.7 ℃。脈拍92/分、整。血圧126/84 mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部に圧痛を認める。血液所見:赤血球430万、Hb 13.1 g/dL、Ht 39 %、白血球8,700、血小板19万。CRP 1.2 mg/dL。下部消化管内視鏡検査を施行した。S状結腸の内視鏡像(別冊No.11)を別に示す。

対応として適切なのはどれか。

a.絶食

b.副腎皮質ステロイドの注腸

c.内視鏡的止血術

d.上腸間膜動脈塞栓術

e.大腸切除術

S状結腸の発赤・浮腫と縦走する白色調の粘膜障害を示す内視鏡像
S状結腸内視鏡像(別冊No.11) / 出典:厚生労働省・第112回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

便秘を背景とする急な腹痛・血便と、S状結腸の発赤、浮腫、縦走する粘膜障害から虚血性大腸炎を考えます。循環は保たれ、腹部も軟で、壊疽や腹膜炎を示す所見は提示されていません。まず絶食による腸管安静、補液などの保存的治療を行います。重症化や腹膜刺激症状があれば外科的治療を再評価します。

画像の見方

粘膜の発赤・浮腫と、長軸方向に伸びる白色調のびらん・潰瘍性変化が見られます。腹痛に続く血便、便秘と血管リスクを合わせると、虚血性大腸炎に合う所見です。

各選択肢の検討

a.正しい。腸管を安静にし、補液・電解質管理を行います。重症度によって抗菌薬なども検討します。

b.炎症性腸疾患の一部では用いますが、虚血性大腸炎の基本治療ではありません。

c.露出血管など局所の出血源に対する治療です。虚血性の粘膜障害が主体の本例で最初に選びません。

d.出血源の動脈塞栓は、虚血性大腸炎の血流不足を改善せず、虚血を悪化させるおそれがあります。

e.壊疽、腹膜炎、循環不安定などでは必要ですが、提示された安定例に直ちに行う治療ではありません。

覚えるポイント

安定した非壊疽性虚血性大腸炎は腸管安静・補液が基本。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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