第111回医師国家試験 I66(2017年)
正答:d
問題
68歳の男性。発熱、咳嗽および膿性痰を主訴に来院した。5日前から発熱、3日前から咳嗽および膿性痰が出現したため受診した。
意識は清明。体温39.2℃。脈拍124/分、整。血圧88/60mmHg。呼吸数24/分。SpO₂ 93%(room air)。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:白血球18,800(桿状核好中球4%、分葉核好中球84%、単球2%、リンパ球10%)。CRP 19mg/dL。胸部エックス線写真の正面像(別冊No.19A)、側面像(別冊No.19B)及び喀痰のGram染色標本(別冊No.19C)を別に示す。同日、敗血症を疑い血液培養を行った。
現時点の対応として正しいのはどれか。
a.抗菌薬を投与せず薬剤感受性の結果を待つ。
b.アムホテリシンBの点滴静注を開始する。
c.ゲンタマイシンの点滴静注を開始する。
d.スルバクタム・アンピシリン合剤の点滴静注を開始する。
e.レボフロキサシンの点滴静注を開始する。


正答の理由
発熱、膿性痰、好中球増多、左上肺野を中心とした浸潤影に加え、低血圧があり重症細菌感染症を疑います。Gram染色ではブドウ房状に集まるGram陽性球菌がみられ、黄色ブドウ球菌を想定します。培養採取後、結果を待たず有効な静注抗菌薬を開始するため、選択肢ではdです。画像だけで菌種・感受性は確定できず、MRSAリスクや地域の耐性状況に応じた追加カバー、循環・呼吸管理と培養後の調整が必要です。
画像の見方
左上肺野を中心とする広い浸潤影を認める。 紫色の球菌がブドウ房状に集まり、Gram陽性球菌を示す。菌種・耐性は培養等で確認する。
各選択肢の検討
a.誤り。敗血症が疑われる低血圧例で感受性結果が出るまで治療を遅らせません。
b.誤り。真菌を示す像ではなく、細菌性肺炎への治療になりません。
c.誤り。ゲンタマイシン単独は、このGram陽性球菌による重症肺炎に対する適切な治療ではありません。
d.正しい。感性ブドウ球菌などを対象とするβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリンです。MRSAには有効でないためリスク評価が必要です。
e.誤り。感性菌や肺炎一般に有効な場合はありますが、本問ではブドウ球菌を疑うGram染色所見から、感性菌を対象とするdを優先します。すべての肺炎に無効という意味ではありません。
覚えるポイント
敗血症が疑われたら培養採取後に治療を急ぎ、Gram染色と耐性リスクを併せて薬剤を選ぶ。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。