死別後の閉じこもりと転倒予防|第111回医師国家試験F18

第111回医師国家試験 F18(2017年)

正答:d

問題

76歳の男性。転倒して頭部を打撲したため長男に伴われて来院した。もともと妻と長男との3人暮らしであったが、6か月前に妻が他界した。それ以降は外出をしなくなり、夜遅くまでテレビを観て過ごすようになっている。炊事や洗濯はしているが生活用品の買い物は長男が会社からの帰りに行っている。3週間前にも食器棚の高い所にある皿を取ろうとして転倒した。妻が他界する前は、自治会の会長を務めていたという。

意識は清明。右前頭部に擦過傷を認める。徒手筋力テストで腸腰筋は5、大腿四頭筋は5である。片足立ちは不安定である。その他の神経学的所見に異常を認めない。頭部 CT に異常を認めない。

最も適切な対応はどれか。

a.睡眠薬を処方する。

b.家事動作を禁止する。

c.車椅子の使用を勧める。

d.地域との交流を勧める。

e.有料老人ホームへの転居を勧める。

正答の理由

妻との死別後に外出や社会的役割が減り、閉じこもりと活動性低下がみられます。筋力は保たれ家事もできるため、本人の希望を聞きながら地域との交流を再開する支援が適切です。ただし片足立ちの不安定さと反復転倒があり、交流を勧めるだけで終えず、バランス・住環境・薬剤・視力や気分なども評価します。

各選択肢の検討

a.誤り。睡眠の生活リズムを整えることが先で、睡眠薬は転倒リスクにも注意が必要です。

b.誤り。家事を一律に禁止すると活動性が低下します。高い所へ手を伸ばす動作などを安全に変えます。

c.誤り。歩行不能を示す所見はなく、直ちに車椅子を常用させる対応は適切ではありません。

d.正しい。失われた社会的交流や役割を、本人の希望と安全性に配慮して再構築します。

e.誤り。現在の情報だけで施設転居が必要とは判断できません。地域での生活支援を検討します。

覚えるポイント

反復転倒を評価しつつ、できる生活動作と社会参加を支える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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